せんせい

先生　No.16 ページ16

【紫耀side】


廉に後押ししてもらって
俺は決意を固めた

年末、ちゃんと玄樹に思いを伝えよう
ずっと持ち歩いてるから形は少し歪になって
しまったがあの箱を渡そう

俺は必死に旅館を探した
さすがに予約が遅かったので、なかなか空きが
なく、離れの露天風呂付きっていう
豪華な部屋しか空いてなかった

でも、一世一代の告白をするんだから
ちょうどいいのかもしれないと
思いきって予約をした

部屋に露天風呂とか聞いたら玄樹はなんて
思うんだろう‥‥

そんな不安を抱えながら玄樹に廉からの作戦通り
メッセージを送る

【年末暇か？もし暇なら一緒に遊ばないか？
　廉と泊まるはずで旅館を予約したんだが、
　廉が急に仕事になったから、よかったら
　一緒に行こう】

バカみたいにドキドキしながら送信を押す

すぐに既読がついて返信がくる

【そんなの悪いからいいよ】

玄樹からの返事はNOで、俺はなんとかYESが
もらえるように、普段なら簡素に終わらせる
文章を長々と入れた

どうか‥‥どうか断らないでくれ

しばらくするとピコンと通知音がする

恐る恐る画面を開くと

【わかった、じゃぁ俺も少しはお金出すね】

渋々だったがOKの返事がきて、俺は

「よっしゃぁー」なんて立ち上がって喜んだ

ふと我に返り、今この場所が自分の家で
よかったと心底思って笑えた

年末は玄樹と旅行に行ける

その事を考えると嬉しくて嬉しくて
残りの仕事も楽々こなせそうだ

あまりにも単純過ぎる考えにまた笑いが
込み上げてくる

年末に告白して、もしフラれたらと思うと
怖いが、

もし‥もし玄樹が俺でもいいって
　言ってくれたら？

「///ヤバイな‥‥」

考えただけでも顔のニヤニヤが止まらない

玄樹と恋人同士になれたら、
ずっとずっと大切にして、いつでも玄樹が
笑えるようにしよう

いっその事、一緒に住むか？

いやいや‥さすがにそれはまだ早いよな

玄樹の好きなハンバーガーを腹一杯食べさせて
ドライブにも連れていって

玄樹は俺の隣でずっと笑ってて
「紫耀」って俺の名前を紡ぐんだ

そんな幸せな未来を想像しながら
とりあえず廉にはお世話になったので
報告のメッセージを送った

廉からは

【やったなぁ紫耀、今頃、鼻の下伸ばして
　デレデレしてんねんやろ？鏡見てみ
　お前今の顔でテレビ出たらNGやで‥笑】

まるでどっかから見てるような返事の内容に
思わず辺りをキョロキョロと見回した

「居るわけないか」

廉には何でもお見通しみたいだった

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