ヒーローって難しい【ヒロアカ】 (ページ10)

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私の本性ページ10

「言葉遣いを丁寧にしなさいとなんども言っているでしょう」

「黙れクソジジィ！！さっさとくたばれ死に損ない！！」

「い、色葉さん…」

緑谷がなんか言っていたが知ったこっちゃない。

なんなんだこのクソジジィは。
勝手に決めんなよハゲ。

いやまぁ、ハゲてないけど。

「試しに雄英でも受けてみれば良いのでは？」

「おい緑谷。この爺さん雄英バカにしてんぞ。殴れ」

「え、えぇ…」

雄英をバカにしているというか、こいつは足場にしか考えていない。

ヒーローになった理由も警察官になった理由も大体の想像がつく。

「どうせ実力試しにヒーローとか警察官になったやつに私の進路をとやかく言われたくないね」

「うーむ。やはりレッドフィンガーは実力試しだったのか？」

「ホッホッホ」

マスターは笑って流しているようだが、確実にそうだということがわかった。

彼の思考はよくわからない。

部が悪くなると笑って流すし、問い詰めても意味はない。

だから、今、どれだけ言ってもマスターはなにも話さないだろう。

「この老いぼれに若者を指導するなど些か難しい。是非ともオールマイトのご指導を」

「私も上手いものじゃないんだけどね！」

私は気配を消してスゥ、っと緑谷の隣に行く。

緑谷の耳に口元を寄せ、爺さん二人に聞こえぬ程度で話した。

「緑谷。今から私がマスターの嘘を教えてやろう」

「えっ？」

戸惑う緑谷をよそに、私は地面に転がる手のひらサイズの石を持つ。

息を止め、個性を発動する。

これで誰からも手に持つ石を可視できない。
いや、そもそも私を可視化できないようにする。

私は大きく振りかぶり、思いっきり石をマスターの顔面めがけて投げた。

一直線にマスターのこめかみへスピード良く進む石。

到着まで一秒もかからない。

速く、真っ直ぐ。

誰に見られる事もなく、静かに、素早く。

しかし

「危ないですよ？」

首をカクンと曲げて華麗に避けるマスター。

見えていない筈なのに避けるところが何よりも解せない。

解せないが、流石マスターだ。

「ほらな。あいつ見えてない筈なのに避けるんだぞ」

呆れたように言ったものの、私も実は楽しんではいた。