ヒーローって難しい【ヒロアカ】 (ページ5)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:21,592 hit

変化は些細で大きな一歩ページ5

翌日か、その翌日か、そのまた翌日か。

私は緑谷の変化に気づいた。

まぁ、些細なことだったから見もしなかったけど、授業中ブツブツ言ってたり、寝ちゃったり。
他人に興味のない私でもさすがに気づく。

何かやっているのか知らないし知ろうともしないが、まぁ嫌でも変化に気づいたと言うことだ。

変化が起こったのは緑谷だけではない。
爆豪もだ。

緑谷に突っかからなくなった。
毎日嫌でも聞いていた爆発音がここ最近一切なくなった。

受験勉強で忙しいのか、疲れているのか。

まぁ、とりあえず二人に変化が起こったというのを抑えてほしい。

二人の変化は私には一切関係のないことで、これからも知ることはないだろうと高を括っていた。

んだけど。

「………」

「さぁ！もっとだ！！もっと足を高く上げて！！そう！」

「はいっ！オールマイト！！」

今日も変わらずマスター、もとい育ての親が経営するカフェの手伝いをして、物が足りなくなったので買い出しに出かけた時のことだった。
店が閉店した後のことだったので夜も遅い。

約数十メートル先。

緑谷と痩せ細った金髪の男性。

緑谷はよく分からん筋トレを海岸でしていて、男性はそれを指導しているようだ。

それはいい。
努力をするのは勝手だし、こっちの知ったこっちゃない。

けどさ？

今、緑谷『オールマイト』って言ったよね？

言ったよね？

いや、知ってるよ？そりゃ。大スターだもん。

化け物級に強くて、筋肉質でバッコンバッコン殴る人よね？うん。知ってる。

知ってる、筈…。

………誰？

いやいやいやいや、誰だよあいつ。

緑谷の隣にいるおじさん誰だよ。

えっ、オールマイトって現役引退してないよね？

えっ？私が知らないだけ？

でもそんなすぐ痩せないよね？

筋肉どこ行った。

…ま、まぁ色々あったんだよ。そう、色々。

そう思った私は目の前の事を見なかった事にして後ろを向き、立ち去った。

いや、立ち去ろうとした。

金髪の男性が何かを叫んだ。
多分テンションが上がって。

私は反射で後ろを振り向いた。

そこには、

「………はっ？」

ガサッと音がした。

自分の手から荷物が離れたのだ。

いやだって。

目の前には、だって────

───現役オールマイトがいるのだから。

「っ！！誰だ！」

やばい。

非常にやばい。

悪い事してないのに非常にやばい。

だから私は逃げた。
方向転換して全力で。