ヒーローって難しい【ヒロアカ】 (ページ17)

今日:6 hit、昨日:8 hit、合計:21,600 hit

ゼロポイントドッスンページ17

揺れは収まらないわ真隣にどデカいやつはいるわで、私はただただイラついた。
が、衝動でどうにかできる相手ではない。

水素爆発の箱は残り一つ。
こいつのために使うか、三ポイントのやつに使うか。まぁ答えは簡単だろう。

他の受験者と同じく踵を返した。

のだが。

「あいつ…」

一人。

腰を抜かした少年。
ロボを見上げガタガタと震えてしまっている。

「おい!!さっさと逃げろ!!」

私の声が聞こえていないのか、少年は震えるだけ。
このままじゃ潰される。
たかが受験で死人が出る──

──助ける?

だけど私になにができる?
たかが隠すだけの能力の私が。扱いきれないもう一つを使うのか?

見捨てる?
震えている彼を?

私は立ち止まってしまった。
こんなロボと近いのは私だけ。
一番危ないのに、私はあの少年を見捨てることができなかった。

私を助けてくれた一人の少年と同じ事がしたいとでも思ったのか。
今はもう、考えないようにした。

私は大きく息を吸って、吐いた。
そしてロボの方へ体を向け、飛び移る。

計算上負けは確定。
少年が動いてくれるのが一番助かるのだが、望まない方がいい。

私はロボの肩に飛び乗り、顔の近くまで寄る。

ロボのカメラを足に隠してあったナイフでぶっ刺した。
破片を飛ばしてパキンと割れる。手に破片が刺さったが、まぁ問題ない。

目を潰したところで今度は肩に移動。
ロボの関節部分を滅多打ちにする。

私が知っているのナイフの使い方は対人であって、ロボではない。

だから、取り敢えず隙間に、且つ深々と傷を付ける。
導線が見えるとそこをめがけてガツガツと。

しかし、

空中に浮かぶ私。

振り落とされたと理解するのに時間はかからない。

私は最後の最後、悪足掻きとして水素爆発する箱をロボの肩に投げつけた。

数秒して爆発する。
ロボの肩が見事にズレ落ちた。

ザマァ、と思う。まぁ良く頑張ったな、と。

高いところからのダイビングは初めてだったが、意外と怖くないものだ。
高校受験で死ぬとか笑えねぇ。

私はゆっくり目を閉じた。

「おい!大丈夫か!?」

声と共にガクンと体を支えられる。

首が痛い。

現状把握の為、目をこじ開けると赤い髪の少年が私を横抱きしていた。

横抱き。つまりお姫様だっこ。

落ちて来てお姫様だっこ。

衝撃吸収もしないでお姫様だっこ。

首が痛いわ!!

そして間も無く終了の合図が鳴った。