ヒーローって難しい【ヒロアカ】 (ページ16)

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私、無口なんで喋りませんよページ16

しかし誰も動く気配はない。
というかキョトン、としているだけで走る気などないのか。

あれ？皆さん？
もう始まってますよ？
私、進めないんで早く行ってくれません？

「おいおい、どうしたぁ!?実践じゃカウントなんざねぇんだよ!!賽は投げられてんぞ!!?」

男性の声が鳴り響く。
えっと…確か……プレゼントマイク…？
彼が声をかけたおかげで一斉にスタートする受験者たち。

足に自信のある者はスタートのミスを補うが如く、猛スピードで。
他の人たちもミスなんて気にしないようにバラけて行った。

私はみんなが行ったのを確認して周りを再び見渡した。

一番高いビルは中心のプレゼントマイクが居るところ。

そこに行ってる時間があるのなら他のビルに陣取った方がいい。

私はなるべく近くの高いビルに駆け寄った。

中に入り階段を駆け上がる。

なんでエレベーターないんだよ!!とかは思ったが、逆にエレベーターが取り付けられて居たとしたらどこから金が出てくるのかを調べたくなるので良かった。

黙々と走っていると二分とたたずに四階の屋上にたどり着く。

屋上は広々として居て、ピクニックでもしたいなーとか思ってしまう。

しかし、マスターとの約束は本気を出して試験に臨むこと。
それでも落ちてしまった場合のみ、その後の自由を認められるのだ。

私は矢に箱を取り付け、弓を引く。
個性なんて使わない。というか、試験内容によって私の本来の個性を使わなくてはならないのでこうやって前々から計画を練って来たのだ。
ぜってぇ個性なんて使ってやんねぇ。

深呼吸をして、そして放った。

ロボに当たった矢は、一秒もしないうちに爆発。
そのロボを相手にして居た少年から横取りしたような形になるが、これが私の作戦だった。

屋上から隣の屋上へと飛び移って弓を引いては放ち、弓を引いては放ちを繰り返す。
移動を繰り返しながら誰かの獲物を横取りする。それでいて相手には誰に横取りされたか理解できない。だから責められる事はない。

セコいって？
ダメだって言われてないし良いじゃん。

弓を引いては放つ。

ただ、それだけに集中しろ。

ラスト三本目の弓を放ったところで、ガクンッと地面が大きく揺れた。

屋上なので、より多くの揺れを感じる。

立つのも危ういので、膝をつけて様子を見る。
そしてそれは早くも姿を現した。

真隣のビル。

──そこからどデカいゼロポイントロボが出てきたのだ。