物見遊山 ページ14
ガリ勉めんどくせえ。
とか思ってたら「ついでにそこの縮れ毛の君と大和撫子!」と私と緑谷を指して叫んだ。
いや待て。大和撫子って。
確かに黒髪ロングだけど、ぱっつん前髪じゃないしお淑やかでもないよ？
偏見だー。
「先程からボソボソと…気が散る!物見遊山のつもりなら即刻、雄英から去りたまえ!」
緑谷は即刻「すみません…」と縮こまったが、事実私は物見遊山だ。
実力試しの、謂わば遊び。本気でヒーローなんて目指していない。
だから去った方が良いのだろうが、何分私にも譲れないものがある。
というか、出来た。
ヒーローになるために雄英に入る訳ではない。しかし、私は雄英に受からなければならないのだ。
何故なら──
──私が初めて助けられ初めて助けられなかった彼の為に
私は間を空けて「すみませんでしたー」と返事をした。
その返事が気に食わなかったのか彼は眉を寄せるが、プレゼンマイクの声が被さった。
「オーケーオーケー、受験番号７１１１くん、ナイスなお便りサンキューな!
４種目の敵は０Ｐ!そいつはいわばお邪魔虫!スーパーマリオブラザーズやったことあるか!?レトロゲーのあれのドッスンみたいなもんさ!」
ごめんなさい、プレゼンマイク。
スーパーマリオブラザーズもレトロゲーもドッスンも知りません。何ですかそれ。
聞きたくても聞けないので、取り敢えず点数にならないロボがいるという事で収めた。
「各会場に一体！所狭しと大暴れしている“ギミック”よ！」
「有難う御座います、失礼しました！」
腰を礼儀正しく九十度に曲げた彼。多分彼とは気が合わない。
だって規則とか私、嫌いだし。
「俺からは以上だ!!最後にリスナーへ我が校�犢桟鵜瓩鬟廛譽璽鵐箸靴茲�!かの英雄、ナポレオン＝ボナパルトは言った！�狄燭留冤困箸録誉犬良垤�を乗り越えていく者�瓩�!
Plus Ultra!!」
声を張り上げるプレゼンマイクをぼーっと眺めた。
ナポレオン=ボナパルト。
フランスで大いに活躍したカリスマ性抜群の男性。砲台が得意で、戦争に勝ち続けた人。
しかしまぁ、何度か負けてしまい国を追放されたり、戻ってきたはいいが病にかかったり、かなり大変な人生だったと記憶している。
いや？死因は毒殺だったか？
あっ、違う。まだ原因がわからなかったんだ。
病は確かに掛かっているが、毒殺の可能性もあり。だった気がする。
考えている間にプレゼンマイクは息を吸って再び声を張り上げた。
「それでは皆、良い受験を!!」
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作者名：海月 星 | 作成日時：2017年6月24日 18時
