目覚し騒動 ページ4
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「 尽八…… 」
「 ああ、分かってる 」
こちら遊部の一人部屋
いつ来てもまあ 人を眠りへ誘う不思議な部屋だ
此処の家主を起こすには一筋縄ではいかない
比較的熟練度の高い荒北であるが、今日も家主の罠に掛かっている
『 眠り姫 』
遊部おはようの会(仮なんてものじゃなくて適当)は陰で彼をこう呼ぶ
それはまあ、前述の通り
全く起きない
というのと
彼のジェンダーレスな容姿からだ
「 別に王子様のキスで起きる 」
何てものではなくて、実際試した上二人
遊部自身は全然起きないし、寧ろ肉と間違われ噛み付かれるし、偶然見かけた荒北にシバキ倒されるし、黒田には誤解されるし、東堂に関しては荒北経由で巻島にまで冷たくあしらわれ散々な目に遭った
のだが
それはまた別の形で二人の間で秘密裏に行われていた
寝ている二人を起こさぬ様にと
えらく慎重にこそこそと話ながら、
それはまたえらく大胆に自分の携帯へと彼らの寝顔を収めていく
「 隼人!これ!今までで一番じゃないか!? 」
「 ひゅう、やるな尽八。 でも此方のが色っぽいぜ、ほら 」
「 おお!やるではないか隼人!だがもう少しこのアングルの方が…… 」
「 さすが尽八、見るとこが違うな…… 」
「 はっはっはっ!そうだろう隼人!天は俺に「 ちょ、おまさん煩いぜ!靖友が起きちまう! 」
「 ああ、すまん。あいつを今起こすと俺らの命が危うい 」
「 そうだぜ尽p「 さっきからナァニごちゃごちゃほざいてんのォ? 」
寝起きも相まって目つき最悪
よりにもよって最後の会話は色々アウトだ
そして固まる二人は漸く気づく
携帯のスクリーンには画像フォルダが映ったまま、荒北にも見える位置
「「 すみませんでしたァァッッ!!! 」」
高速土下座
そこにプライドなんて存在してはならない
「 俺らが悪かった!だが見ろ!この宝の山を!癒しの宝庫だぞ荒北! 」
「 そうだぜ靖友!おめさんも分かるだろ!こんな可愛い寝顔前にして撮るなって方が無理だ! 」
「「 何でもするからこれだけは消さな「 ナァンにも反省してネェなお前らァ!! 」
遊部の部屋の朝はいつも賑やかだ
主に家主以外の声と音で
『 ん…… っ 、るさ……何これ…… 』
これが、日常
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「 ったく…… さっきの オレにも頂戴ネェ 」
「「 神か! 」」
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作者名:酸カク糖 | 作成日時:2015年11月29日 2時