とこしえばな【虎】 (ページ46)

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少し歩いて到着したのは駅前のショッピングモール。

なんでここに？

前を歩く彼に尋ねる。

中村「冬服買わなきゃでしょ」

『‥え』

たしかに、火事に遭ってからとりあえずの部屋着やジャージは買ったけど

出掛けることもそんなにないかなと思ってカジュアルだったり、綺麗めなものは何一つ持っていない。

いつか買わなきゃとは思っていたけど…

中村「ここならAちゃんに似合いそうなブランドとかもあると思うし」

『でも私オシャレとか疎くて買い物下手くそなんです

‥‥優柔不断で時間かけちゃうし、』

せっかく連れてきてくれたのに申し訳ないと思いながら肩を竦めると中村さんは屈んで私と目線を合わせた。

中村「じゃあ今日は俺がAちゃんの服選んでもいい？」

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それから中村さんは私を連れて色んなお店へ入っていった。

店員さんと話して私に服を合わせたり、試着をしたり。

彼が選ぶそのどれもがお洒落で、初めて着るような服との出会いに心が弾んだ。

まだ決定的な服が見つからないのか、綺麗な淡い緑のワンピースを受け取って何度目かの試着室に足を踏み入れる。

わ、あんまり着ないかもな、こういうの。

‥‥似合ってないかな。

‥‥でも試着するだけなら無料だし、楽しんでもいいよね？

鏡に映る自分自身を見ながらターンしたり両手を広げてみたり、誰も見ていないのを良いことにポージングなんて決めてみたり。

中村「Aちゃん？どー？」

向こう側から聞こえた声にふと我に返った私は慌てカーテンを開けた。

開いてすぐ目の前に立っていた中村さんは
私を見て口を抑える。