とこしえばな【虎】 (ページ35)

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『やっぱり！吉澤さん！』

吉澤「‥‥えっ！‥‥なんでここに！？」

大声を出してしまった吉澤さんは慌てて自分の口を押さえるとこそこそ声で私と距離を詰めた。

『ケーキ買って帰ろうと思って‥‥‥あの、吉澤さんってもしかして甘党ですか？』

周りに聞こえないように耳打ちすると、吉澤さんは照れたように笑う。

吉澤「苺好きだからなんかショートケーキでも食べようかなって」

『ふふ、そうなんですね』

前聞いた時はハンバーグが好きって言ってたからそういうイメージしかなくて、結構可愛いものも好きなんだなって新しい一面を発見した気分になる。

『じゃあ私買いますよ、元々皆さんに買おうと思ってましたし』

吉澤「そうなの？でもいいよAちゃんのも入れて全部俺が買うよー」

『それじゃお礼になりませんから！』

とりあえず吉澤さんと誰はどのケーキっぽいのか、そんな事を話しながら7人分選び、レジへ持っていった。

吉澤「Aちゃんの無いけどいいの？」

『私はいらないです、それよりお金‥‥』

吉澤「いーから、外で待ってて」

お財布を出して吉澤さんを軽く押すけどそんな私の必死の抵抗は敵わず、マフラーを巻き直し外で吉澤さんを待つ。

吉澤「おまたせ、寒かったでしょ？これつけな」

黒いコートのポケットから出した手袋を私に渡す。

少し手が悴んでいたからありがたくそれに手を入れて二人で帰路についた。