とこしえばな【虎】 (ページ34)

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ケーキと自信ページ34

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「吉澤くんがこんなミスするなんて珍しいこともあるのね」

吉澤「‥すみません、すぐ作り直します」

誤字脱字で返されたそれを持ってデスクに着く。

PCを前にして、深くため息をついた。

‥‥うまくいかないな

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『お疲れ様です、お先に失礼します』

いつもより早く仕事を終えた私は皆さんに挨拶をして足早にオフィスを出る。
思ったよりスムーズに会議が進んで良かった。

ほっと胸を撫で下ろして、マフラーを結んだ私は7人と住む家とは真逆の方向へ足を進めた。

30分ほど歩いて目の前に現れたのは国内で結構有名なケーキ屋さん。
まさか会社の近くにあるなんて思わなかったな、すごい。

可愛らしいOLさんや綺麗に着飾ったご婦人たちで溢れる中にぽつんの男性の姿が見える。

薄いピンクの装飾を施した店内に似合わぬかっちりとしたスーツを着ていて少し悪目立ちしてしまっている。

‥‥珍しい、甘党なのかな。

『‥‥ん？』

ケーキを見回すその人の横顔がある人にとても似ていて、もしかして、そう思った私は彼の元へ向かった。