とこしえばな【虎】 (ページ20)

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「あれ、結構大きい」

松倉さんが用意してくれたスウェットに手足を通すけどやっぱり男物だからか少しダボっとする。

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リビングへ行くとそれぞれが好きな事をしているのか、テーブルに座る川島さんだけが私に気付いた。

川島「ちょっとは温まった？」

『はい、ありがとうございました』

一つ、深呼吸をして。

湯船に浸かりながら考えた事を話そうと思った。

『すみません、皆さん』

皆さんの視線が私に集中する。

『お風呂ありがとうございました。‥‥急に見ず知らずの女が家に上がるなんて、嫌ですよね。本当にすみません。』

『明日の朝早くには出て行きますので、』

驚いている人と、心配そうな顔をする人。
その反応だけで十分幸せだと思った。

中村「見ず知らずの人じゃないじゃん」

『え‥‥』

意外な人からの言葉に、今度は私が驚いてしまう。

中村「困ってるAちゃんと、それを助けたい俺たち。‥‥それだけでいいでしょ」

川島「はは、海人それじゃわかりにくいよ」

宮近「素直になりなって～」

中村「‥‥っ、だから、さっきはごめん」

頬を少しだけ赤く染めた中村さんの真剣な瞳が私を射抜く。

中村「怒ってないから、ここにいなよ」

ダメだ、なんか泣きそう

『‥‥嬉しい、ですけどでもやっぱり、』

　

松田「ここ出て他に行くとこあるの？」

『う‥‥』

行くところなんて無い。

地元を出てるから近くに家族も友達もいないし、会社なんてもっと頼れる人がいない。

きっとここを出たらホテルとか、ネットカフェとか、そういうところに行くしかない。

七五三掛「ねぇ、海人もこう言ってるんだし、ここにいたら？」

松倉「俺も全然いいよ、元々俺らの家じゃ無いし」

吉澤「確かに(笑)てか屋良くんなら絶対Aちゃんのこと拾っただろうなぁ」

宮近「て事で、全員一致でAちゃんを迎え入れる準備はできてるけど‥‥？」

『‥‥っ、うぅ、』

七五三掛「あっ！ちゃか泣かせた！」

宮近「え、今のは流れ的に海人でしょ？(笑)」

中村「‥‥俺？やー、、ごめん」

川島「じゃあ改めて、お互いのことを話そうか。」

この日から私の長いようで短い居候生活が始まった。

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忘れられない

忘れたくない

そんな思い出が溢れていく