夏の終わりに想うこと (ページ26)

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ー③ーページ26

翔サイド

椅子をゴロゴローって持ってきて
洗っている間は後ろから腰に手を回し
洗い終わったらまた真正面から抱きついてきたりさ。

翔「もう、しょうがないなあ。ここ座ったままでいいからさ、診せて？」

今日はとことん甘えさせてやろうと思い、
そう言うと、腰に手を回したまま目だけこちらに向けて上目遣い。

無言は否定ではないと捉えますよ？

幸い手の届く場所に置いてあった基本セットの中からミラーを手に取り

翔「りさ？あーんしてごらん？」

と声をかけると少し身体を離して開けてくれた。

案外素直なんだよね。ひと抵抗はしたいらしいけど。

あ～ここか。な～んだ。暗くてあまり見えないけどC1ってとこかな。そんなに深くはなさそう。本人痛み感じてないしカリエスだとも思ってなさそうだもんね。

りさ「かりえす、なってふ？」

翔「あーごめんごめん閉じていいよ。そうね、ちょっとだけなってそう。まあでも削っても痛みないと思うよ。」

りさ「そっか。タービン使う？」

翔「使ってもいいけどりさ、音嫌いでしょ？5倍速でいこうかなって思ってるよ。」

りさ「うん嫌い。痛くしないでね？」

翔「任せて。早く終わらせて一緒におうちに帰りましょ？」

そう言うと照れ臭そうに笑いながらユニットに移動してくれた。

翔「倒しまーす。もう一回診せてね。開けてください？」

ん、見立て通り。すぐ終わるね。

翔「ほんとに一瞬で終わるからね。じゃ、はじめますよ～」

元々歯医者が極端に嫌いなわけではないりさ。

だから大人しくユニットに収まってる。笑

それでも急に被せてたものが取れてその上虫歯だって言われたら誰だってビビるよね。

翔「よし終わったよ～。痛くなかったでしょ？」

りさ「もう終わったの？だいじょぶだった。」

翔「じゃあ残りもちゃちゃっとやってしまおうね。」

・

翔「はいおしまい。お疲れ様でした。早く教えてくれたからあっという間に終わったよ。」

りさ「うん。言おうか迷ったけどね～。笑ありがと翔くん。あ、そーだ！お礼に今日の夜、歯磨きしてあげるよ。」

翔「え？いや、いいよいいよ。歯磨きぐらい自分で出来ます。」

りさ「え～だめ。人にやってもらうの気持ちいいよ？ね、決まり～。」

この後しっかりりさにも隠し事がバレる翔くんでした。