夏の終わりに想うこと (ページ25)

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ー②ーページ25

翔サイド

優しく、優しく。和に言われたことを忘れずに。

てか待てよ。あいつにバレてたよな。
俺がさっき自分のカルテ見てたこと。
ほんとあいつの洞察力には叶わないわ。

それにしても何で待ってるんだろう。
勝手に放置して痛くなってるのかなって思ったけど、それならもっと前に俺が気づいてると思うんだよな。

考えていてもキリがないかと思いとりあえず入る。

翔「入るよ。」

ガラガラと扉を開けると声を聞いて振り向いたのか、こっちを向いて座ってるりさ。

翔「おつかれさま。お待たせ？なのかな。」

そう笑いかけると下を向いてしまったりさ。

近づきながら、

翔「どうしたよ。顔あげてごらん？」

と声をかけると目には今にもこぼれ落ちそうな涙。

翔「なぁに泣いてんの？ん？」

状況にイマイチついていけずとりあえず抱きしめると静かに泣き出したりさ。

落ち着くまで待ってやろうと、だいじょーぶと小声で言いながら頭を撫で続けた。

しばらくすると
ズビッ、ズビッと鼻をすする音が聞こえてきたので

翔「落ち着きましたか？おねーさん。」

と笑いながら近くにあったティッシュに手を伸ばし渡してやると、

りさ「ばかぁ。くるの、おそいの。」

なんて言って思いっきり鼻水をかみやがった。

翔「ごめんって～。和と話してたの。え？もしかしてそれで泣いてたの？」

りさ「それでって何よもう。だってずっとここに1人さみしかったんだもん。」

翔「俺はてっきり。歯が痛くて泣いてるのかと…」

りさ「痛くないもんっ。取れただけだもん。」

いやいやおねーさんよ。
抱きしめながらどれだけ放置したんだろう、とか何で気づけなかったんだろう、とかハードな治療になるのかなとかいろいろ考えてた俺の心配を返せ。笑

もう。かわいいやつめ。

翔「はいはい。ごめんね？もうどこにも行きませんよ。んで、取れただけって言ったっけ？どこが取れたの？」

りさ「これ。左下のね、7番。」

翔「あ～昔入れたって言ってたところか。俺もこの間の時にそろそろ新しいのにしなきゃかもなって思ってたわ。遅かったなごめんな。」

りさ「うーうん、私も知らないフリしてたから。」

翔「取れてから自分で見てみたの？」

りさ「見てない怖いし。」

翔「まあそうだわな。俺も怖くて見れない人。
んじゃりささんそろそろお席交代してもらってもよろしくって？」

お腹のあたりに顔を埋めて無言を貫くりさ。

とりあえず手でも洗いますか。笑