夏の終わりに想うこと (ページ14)

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和サイド

そろそろ痛み出すかなーと思った頃に声を出したA。

もうしばらく削りたいから一旦止めて。

少し話したら自分から頑張ると言ってくれた。

和「ゆっくりやっていこうね、また痛くなったら教えてね。あーん」

またタービンを回しはじめた。

休憩したおかげかそこからしばらく平気そうな顔をしていたけどそろそろ奥の部分。

俺の腕の見せ所とAの我慢時。

智「上手だねーAちゃん。お口小さくなってきたからもう少し大きく開けれるかなあ？」

声かけは大野さんに任せて少し集中する。

バキュームも絶妙な角度、位置で視野の確保をしてくれる。ほんっとにこの人には敵わない。

A「んんっ、ん、」

また声が出てきた。

和「えらいなー、A。痛かったら手上げてねー」

手はまだあがらないからもう少し進めよう。

智「和、もう少し遠心側からもいこうか」

大野さんのアドバイスも受けて削り進める。

A「んぁああ、んんんー」

そろそろ限界かな、と思い

和「痛いね、一旦止めような。起こすよー。」

ここからがしんどい所。なんとか歯髄も残せそうな感じだ。
それに今のAだったら頑張れるんじゃないかなと思い、

和「A？あと少しで終わるんだけど、いまね、すごく深いところを削ってるの。だから痛みが増すかもしれない。なるべくそうならないように俺も頑張るからもう少しだけ頑張ってみない？」

隣で優しいまなざしを向けてくれる大野さん。

A「痛いの、やだ。」

智「やだねえ、だけどね、和が10数える間に終わらせてくれるって。だから10だけ一緒にやってみない？」

A「あと10で終わり？」

智「そう、終わり。」

A「わかった、やって、み、る」

さりげなくハードルをあげられたけれど、ほんとにそこまできてたから

和「よし、じゃあ10だけ頑張ろうな。泣いても叫んでもいいよ。だけどお顔だけは動かさないで？」

うん、と頷くから手、智くんに握っててもらいなと声をかけて

和「智くんに数えててもらおうね、じゃお願いしまーす」

智「はーい、いくよー。いーーち、にーーい。頑張れてるなーすごいすごい」

A「んーーー！ひゃっ」

智「さーーん、しーーい、ごーー。あと半分だよー。ろーーく」

最後の最後。おそらく1番痛いところ。