夏の終わりに想うこと (ページ13)

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Aサイド

やりたくないなあ、痛いのやだなあなんて思ってたけど昨日の和はとても優しくて。
そして痛くなかったから、やってみよっかって和の言葉に頷いた。

そしたらバナナの味がするお薬を塗ってくれたんだ。

和「よし、一旦起こすからお口ぐちゅぐちゅぺーしてね。」

和ってなんだろう。治療してるときすごく子どもと接してるみたいな話し方になるんだよね。

でも嫌な感じはしなくてとても安心するって言うか何というか。

智「和、小児ばっかやってるから話し方がもうそれ用になっちゃってるね。笑」

和「うそ、ほんと？笑
もう癖になっちゃってるんだなー。」

やっぱりそうなんだ。
優しく子どもとお話ししてるんだろうなー。羨ましいよ、和の患者さんが。

和「じゃあまた倒すよ？痛かったら手上げてねー」

削っていくよって声かけられたからいよいよだって思うとやっぱり緊張する。

和「身体ガチガチになってるよ、A。力抜いてて？ん、はじめるよー」

私の嫌いな音が鳴り響いて始まった。

キュイーーーンキュイーーーーーーン。

和「偉いなあー。痛くないようにやっていくからねー。」

力の抜き方がわからなくてどうしても途中で手を握ってガチガチになってしまう。

智「頑張れてるよー、上手上手。力抜いてごらん？」

昨日の和の応援に加えて智くんもたくさん声をかけてくれる。

ほんとにみんな優しいんだなあ、前のところとは全然違うや。

これなら今日も頑張れるかもと思ってしばらくそのまま耐えていると

なんだか染みる気がする。

気のせいかも。

いや、違う。削られてるところに違和感があるんだ。

A「んんっ」

和「どした？一旦止めようね。痛かった？」

昨日約束した通りすぐに止めてくれた。

A「なんか変な感じした。」

智「そっかそっか。一回休憩してみようね。疲れちゃったでしょ。」

和「そうね、頑張ってるもんな」

あくまでも私のペースに合わせてくれる2人。

なんだかこんなことも出来ないのが情けなくなってきちゃって

A「ごめんね？すぐ止めちゃって。」

と言うと、

和「何回でも止まっていいんだよ？Aのペースでやればいいんだから。ね？大野さん」

智「そうだよー？俺もいつも途中で待ってってばかり言ってるから今日のAちゃんすごいなーって思うよ。」

なんて言ってくれたからもう少し頑張れる気がしてきた。