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Aが言ってんのは、吸血衝動を一時的に抑える為の緊急用の飴だ
ただそれを俺が持っていないのは当たり前で。というのも、雑種とは違って純血は別に血を摂取しなくても生きていられる
だから生命危機に瀕して吸血衝動が出ることもないし、出たとしても抑え込めるものだ
よっぽど、自分の口に合うクソ美味血液が誘ってきたりだとかｧ？理性で頑張ってるところに我慢するなとかｧ？
そういう追い打ちさえかけられなければ大して問題はない
んで、下町に出回ってる飴はろくに
ちなみに混ぜてあんのは豚の血
味は美味しいとは言えないので、砂糖で誤魔化してるだけのもんだ
それを寄越すとはねぇ……。
情けないことにも吸血衝動に負けるような雑魚だと思われてるわけだ(実際それでこの前吸ったんだから大口は叩けないが)
｢下町にあるのって豚の血を混ぜたものなんでしょ？城で作ってるって聞いた
だから、お城の人にお願いしてコレ、私の血で作ったの。ほら、サーシャは契りで私の血しか飲めないでしょ？
だからこの飴も持ってなくて、今日も飢餓状態になってたんじゃないかって思って
貰ってくれる……？｣
黙って反応していなかったからか、言い訳のように経緯を話し出す
別に契りのせいで出来ないのは、A以外への“吸血”であって、予め抜かれた血を飲むのであれぱ誰のだってなんのだって問題ないわけで、Aの推理はお門違いなわけだが
ニッと口角が上がる
この世の中のことなんも知らない、知識を得られるようなところで生活していなかったんだから当たり前だが、その無知でおバカなところがまた可愛げがある
加虐心が疼き、返事をすることなくその飴玉を一つ口に頬張った
｢Aの味だな｣
｢ぅ。その言い方やめてよ｣
予想通りほっぺを色付けたのを見て満たされる
足の反動で起き上がり、床に座り込むAを足の間に収めた
オニキスがじっとこちらをみて、｢おいしい？｣と首を傾げる
｢前と逆だな｣
｢サーシャはいっつも私の事見下ろしてるじゃない。別に新鮮さもないでしょ｣
そうだっけか？と記憶をめぐろうとしようとすると、下にいるやつが動いたのでつむじを指1本で押さえ付けてそれを止めた
下からは非難の声が上がるが、やわっちくて笑ってやった
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