【selly】道を間違えずに/after story

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｢嬉しそうねｪ｣



｢うん。なんか、この辺が暖かくなった｣




sellyの家に帰るまでの道のりで私は結局手紙を開くことがなかったけど、それでもこんなに胸が暖かい




｢照れたお母さん可愛かったなぁ……｣



｢お母さんにも可愛いか｣



声を出して笑っているところを見るに久しぶりの帰省は楽しかったのだろう

好きな人が機嫌よさげに笑っているのはどうもこちらも嬉しいようで、私はsellyの笑いに釣られるように笑った




sellyの家に戻って、マンゴーにお留守番のご褒美を与えた

春も近づくというのに韓国はまだまだ寒くって、冷たいフローリングを踏みながら暖房のスイッチを付ける




｢手紙、何書いてあるの？｣



｢今から読むけど、sellyはだぁーめ｣


｢なんだよー｣



｢私への手紙なんだから。取り敢えずね｣



手紙を渡すのを渋っていたselly母を思い出し、当人以外に見せるのは如何なものかと思ったので取り敢えずのところ私だけが読むことにした


sellyも了承してくれたのか、隣に座ったものの興味がないのを示すようにスマホを持ち出した




わざわざ言いはしないけど、ありがとうという念を送ってから私は改めて手紙に目を向けた

薄ピンクの封筒は大人の雰囲気を出しつつも可愛らしさがあって、しかも日本の象徴───サクラを思わす




丁寧に封を開けて中の手紙を開いた




｢……ｯ!｣




不格好な…、歪な文字が並んでいた。
でもそれは想いがたくさん詰まっているのがすぐ分かる



日本語だ。
全てひらがなで、しかも何となく色の違うボールペンが使われてるのを考えるとsellyの親が2人で書いてくれたことが分かる

ひらがなばかりで読みずらい文を指でなぞりながら、決して読み間違えないように注意して読んだ





───むすこのはんりょになってくれてありがとう



｢ふふ｣



｢…なんだ。キモ…けど｣



｢うん、ちょっと、可愛くて｣



きっと翻訳機を使って書いたであろうこの文章はおかしなとこばかりだけど……

なんだ…、私結構好かれてるかもしれない




｢せりぃー｣




嬉しさの感情が頂点に達して、私は隣にいるsellyに飛びついた


結構な勢いで飛びついたけど、sellyは私を受け止めてくれた
ガコンとスマホが床に落ちた音がしたけど




｢結婚しよぉー｣



｢……は？｣

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