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「“帰ってしまうのね”」
お世辞でも“帰ってしまう”という風に言って貰えたことにほっとした。
少しはいい彼女と思って貰えただろうか
韓国語を教えてくれたmondoには改めて感謝をする
sellyが嫉妬してしまうので心の中でmondoに手を合わせるだけだけど
「“学校の卒業式があるんです。ゆっくりと時間が取れたら、またお世話になります”」
ペコリと頭を下げて横にいるsellyを見上げた
sellyは私の方をずっと見ていたようで、すぐに目が合って「帰ろ」と私の手を握った
私はそれに頷き返して、sellyが開けてくれた玄関ドアをまたいだ
「“Aさん…”」
後ろから聞こえた私の名前は、私を呼び止めるにはあまりに弱々しい声で、これは私を呼ぶためではなく予想外に口から出てしまったものであった
一瞬聞こえないふりをしようかと思った
だってsellyは聞こえてないみたいで構わず歩いていつまてしまうから
「“はい”」
「“ぁ……、ちがうのよ。ごめんなさい
時間がないなに私ったら変に名前を呼んじゃった”」
「“どうしたんだよ。なんか忘れ物?”」
私にも分からないので、困った表情を表に出して笑みを作るしかなかった
微妙な空気になってしまったこの三竦みにドタドタと大きな足音が聞こえた
もちろん家の中である
「“ちょぉっとぉ!なんでだれも起こしてくれないの!”」
寝癖そのまま。寝巻き上等。
sellyの妹さんが寝起きとは思えないハツラツさで玄関に飛出てきた
それはもう、裸足で
「“Aさん!向こうに戻ってもまた遊ぼうね”」
ぎゅぅーと細い腕が私の首に回った
なんとも可愛いことを言ってくれる
自然と頬は緩み、答えはもちろん同意
sellyの「“オレのだって。くっつくなよ”」という謎の対抗心で妹さんは私から離れ、ニコリと笑うとつま先立ちで家の敷地に戻って行った
そして再び始まってしまったselly母との謎の時間に視線を逸らす他なかった
「“ハハ……、なんだよ。なんかあるなら言えって”」
我慢できなくなったsellyがついに進展を求めた
そしてselly母は渋々といった様子で服のポッケに手を入れ、何かを取りだした
それは四角い封筒
可愛いやつだ
手紙?
「“あまりAさんに上手く話せなかった気がして……
昨日お父さんとこれを書いたの。初めてだったからおかしなところ沢山あると思うけど。せっかくAさんが私達の言葉を話してくれてるんだもの”」
手紙なんて貰うのは何年ぶりだろう
こんなに高揚するものだっけ
「“ありがとう”。ありがとうございます」
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もち - ヒロインの妊娠…!今後の展開が楽しみすぎてのたうち回ります!!!! (8月17日 4時) (レス) @page38 id: b8a682172d (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - ♡さん» ありがとうございます!バグではなく、私が話の話数の振り方を間違えました💦お話自体はこれで抜けは無いです!教えていただきありがとうございます🙏🏻 (7月1日 19時) (レス) id: 1af3cf4740 (このIDを非表示/違反報告)
♡ - バグりすぎてじゃなくてバグだったら、です誤字すみません(T ^ T) (7月1日 16時) (レス) id: cd266db9f4 (このIDを非表示/違反報告)
♡ - 21と22のお話が抜けてませんか...?私のバグりすぎてだったらすみません...! (7月1日 16時) (レス) id: cd266db9f4 (このIDを非表示/違反報告)
立花 - 一年前にこの作品に出会って、他の方の小説を見て回っていたら戻ってきました。本当かっこいい所を全部詰め込んだ小説で大好きです!!応援してます!更新頑張ってください!! (6月30日 20時) (レス) id: 67c41516d4 (このIDを非表示/違反報告)
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