【CR】さよなら三角、また来て2 (ページ10)

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何故かsellyに送られている
どうも彼の言い分では私を家に送り届けて、それから私の傘を借りて自分の家に帰るそうだ

そうするのが筋合いだろ……と

借りる側の人間を往路させるなんておかしいだろうと言われてしまった

そう…いうもんなのかな

｢私の家ここ｣

｢ふぅーん｣

sellyは興味でもあるのか、家だと示したその周りを見渡していた

sellyが立ち止まるもんだから、目と鼻の先にある家の玄関に行けない
なにか気になることでもあるんだろうか

｢selly？｣

｢ん？あー。はいはい｣

｢ありがとね、荷物。重たかったでしょ｣

｢え？ぜんっぜん。｣

｢……｣

まさかここで男の子アピールをされると思ってなくて、ほおけてしまった

なに。可愛いんですけど

可笑しくて笑っていると私の真上にあった傘が消えた
ザァーと降る雨が容赦なく私に降り注いだ

｢ちょっとぉ！｣

｢嘘じゃないって。マジで重くないんだよ｣

｢だれもsellyが嘘ついてるなんて言ってないじゃない｣

私は傘を求めてsellyとの距離を詰めて無理やり傘の中に入った

ほぼ真上にあるsellyの顔を見上げて、ムッと怒ってみせる
sellyはsellyで｢顔にそう書いてあったんだよ｣と屁理屈を言ってきた

いや、sellyの言ってることは間違ってない。心の中ではそう思ってたから
でも何も傘を除けなくたっていいじゃない

｢近い｣

｢しょうがないじゃない。傘がそっちに傾いてるんだから｣

｢はぁ……。もう着いただろ｣

押し付けられるように傘が戻ってきた
sellyの髪はあっという間に濡れて元気がなくなった
その髪を鬱陶しいそうにかき上げると上から目線に私を見下ろしてくる

なんでいつもそんなに勝気なのか……

｢家に入れよ。風邪ひくぞ｣

｢sellyがね｣

｢そうね。オレがひくわ｣

返ってきた傘をsellyの方に傾けながらsellyの腕をひいて玄関前まで移動した
自前の鍵で扉を解錠し、玄関を開ける

｢待っててね。タオルとか持ってくるから｣

靴を脱いで家に上がってから振り返ると、濡れていたのは少しの時間だったはずなのにかなりずぶ濡れのsellyがいた

髪からはぽたぽたと水が滴り、綺麗だった玄関に小さな水玉を作っていた

｢いらないよ。すぐ帰るから｣

｢そう。んじゃ、荷物ありがとね。傘はこれを使って
返さなくてもいいから。もう誰も使ってないやつだし｣

まるで友達のように手を振ってsellyをまた雨の中に送り出した