【いわゆる幼なじみ】 ページ2
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「mondoー、起きろー。遅刻するよー」
あと15分で家を出ないと遅刻確定の時間
それにも関わらず彼はまだ布団の中にいる
私がもう一度「おーい」というと、mondoは少しだけ眉を寄せて「あぁ」と掠れた声をもらす
「うるさいよ…起きてる」
「起きるって言うのは、目を開いて布団から出てそれからを指す言葉だよ
早くしないとまた先生に怒られるよ」
「めんど……」
ふわぁ…と呑気に欠伸をしてる彼に私は手を伸ばして、強制的に布団から引っ張りおこした
最近成長期が来た彼は急に背が伸びて私より頭一つ分もでかい
欠伸で出た涙を拭いながら、まだ目を閉じてるmondoに「もぉ」と怒りを訴える
「ほんとに!早く着替えないと遅れちゃうよォ!」
「着替えるから出ろ……」
「ほんとだよ?すぐ着替えるんだからね」
「はいはい」
心配だけど私はmondoの部屋を後にした
玄関まで戻って靴も履いてしまう
───いわゆる幼なじみ。
と、いっても小学校が同じで家が隣ってだけの関係だ
毎日の登下校で顔を突き合わせることが多かった私たちは次第に一緒にいることが普通になってしまって、だからこうして高校になっても私は一緒に登校するために迎えに来ている
遅刻するかもしれないリスクを背負ってしなければならない事じゃない。
じゃないんだけど、私は当たり前のように隣の家に来ているわけだ
昔はこんなに寝坊をする人じゃなかったんだけど、どうやらゲームにハマったようでそもそも寝るのが遅いから起きるのも遅くなってるっぽい
なんなら授業も寝てるから……
私はmondoの家の姿見の前に立ってスカートをクルクルと巻いた
家でやるとお父さんがうるさいからいつもここでやっている
これも私の朝の日課
「また巻いてるし…」
「ここ、寝癖ついてる」
mondoがカバンを持ってやってきたけど、ぴょこんと跳ねてる寝癖はそのまんまだった
mondoが靴を履くために玄関にしゃがんだので、私は持っているクシでそれを梳かしてあげるけど髪は落ち着かない
「水とかないの?」
「いいよ、このまんまで。早く行くぞ」
「えぇー、本当に?まぁいいけどさ」
靴を履き終えたmondoが立ち上がって、気だるそうにまた欠伸をした
私はその後を着いて、2人で家を出る
外は春風でまだ冷たい
雪も全然残っていて、寒さに私は手をポケットに入れた
「さ、急いでいくよ」
「間に合うだろ、この時間なら」
「念には念をだよ。mondo、歩くのいつもゆっくりなんだもん」
「はぁ〜。ねむ」
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Stellar(プロフ) - 更新ありがとうございます!いつも楽しく読まさせて頂いております!次の投稿も心待ちにしております。 (2022年12月7日 22時) (レス) @page47 id: 473eaf19e2 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - こちらの更新も楽しみにしております…! (2022年5月3日 10時) (レス) @page28 id: 4b44556f18 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - 新作おめでとうございます!始まりから神作‥!心の中で夢主とくっついてほしい人の論争が始まりそうな予感がします(笑)更新頑張って下さい!応援しています! (2022年1月9日 19時) (レス) @page10 id: 064c02c015 (このIDを非表示/違反報告)
憧葛(プロフ) - こんにちは!憧葛です。新作おめでとうございます。まだ10ページに満たないのにどうしてこんなに満足感が得られるんでしょうか…!今回も神作の予感がしますねぇ。更新頑張ってください!! (2022年1月9日 12時) (レス) @page8 id: 3bd1b8d7f3 (このIDを非表示/違反報告)
ZZZ - そうか、これが天才か。 (2022年1月9日 2時) (レス) @page8 id: 0e7f502404 (このIDを非表示/違反報告)
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