【selly】道を間違えずに進めたら良かったのに。3

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｢さぁむぅー｣





手をすりすりと擦り合わせて白い息を吐いた
目の前の大きなもみの木はキラキラに輝いている



それにしても人が多い。いやそりゃそういう日だから仕方ないんだけどさ




日も落ちていて暗いので目だけで探すのは諦めて私は携帯を取り出した
画面がつくとつい1分前にやり取りしたメッセージを流し読んで私は携帯を耳に当てる


賑やかな声の中機械音が1番大きく聞こえて、私はちょっと歩きながら周りを見渡した





｢あ、もしもし？｣



『なんだ』



｢なんだじゃないよ、どこにいるの？｣





声変わり前のような可愛らしい声
なんだと冷たくいい放つけど本当はものすごく優しい彼



実にまる1ヶ月ぶり
恋人の記念日ということで遠路はるばるやってきたsellyとの待ち合わせ場所は空港じゃない


列記としたカップルスポットだ





｢見当たらないんだけど｣



『A小さいからねぇ』



｢selly。右隣の女性を見てみなさい。私が平均的だということがわかるでしょう｣



『オレの前の人は小さいけど』






ダブル声に私は勢いよく振り向いた
信じられないほどの近くにsellyが立ってて、よろける私の腕をsellyが掴む




｢なにしてるか｣




｢せ、selly……。あ、や、お久しぶり｣



｢また迷子か｣



｢なんでそうなんの｣



｢ずっと後ろいたけど、周り見ながら歩いてたからねぇ｣




｢またそういうことしてぇ！見つけたら声掛けてよ｣



｢怒るの良くないよ｣





悔しいけど確かに久しぶりにあってこれでは目も当てられないので私も一旦落ち着いて呼吸を置いた




｢A｣



｢んー？｣




改めて名前を呼ばれて上を向くと視界が真っ暗になった

え？と思って瞬きをしてみると私のまつ毛が何かにあたる




髪ごと抑えられる耳がじんわりとあっためられる

私の顔を持ち上げて、絶対に私が逃げないように上から押さえつけて



逃げなんかしないのに





触れるだけのそれはすぐに終わり、あぶなぁ…と小さくつぶやくsellyに抱きついた




｢街中でいっけない人｣



｢口付けしていい？｣




｢それ、やる前に使う言葉だから。知ってるくせに｣



｢違う。Aがオレにそれを言うの｣




｢sellyー、ポッポヘジョ｣



｢意味わかるの？｣




｢もう分かってますよー｣





私はゲームも韓国もなんにも知らない
でも私の彼はプロゲーマーの有名人


大変なことがたくさんあると思う
でもそのどれもが彼と別れる理由には値しなくって、私は彼の手を取るのだ




｢サランへ｣





end

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