【selly】道を間違えずに進めたら良かったのに。2

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｢………。｣



｢………。｣






あー、秋だぁ



紅葉(こうよう)が綺麗だなぁ。…………なんて、思えない
ちょぉぉ怖かった





｢もう…やめとこうね｣



｢Aが乗るのこと言ったのに｣



｢今ものすんごく悪いと思ってる｣




もう日も沈み始めていて空は真っ赤だ
二人で心身ともにやられてベンチに座っているのはもったいない


だってあと少ししか一緒にいられないんだから




｢selly、歩こ！私、あのイルミネーション見に行きたい｣



｢んー…｣




のったりと立ち上がるsellyを見守り、足並みを揃えて歩き出した
冷たい空気に手を晒し、指先に白い息を吹きかけて隣の人に笑いかける





｢行こっか｣




口元を手で隠してる彼はきっとにやけてるのかな？
誤魔化すようにわざとらしい小さな咳まで聞こえてくる





イルミネーションのエリアはこの遠目からでも規模がでかいことが分かる
カラフルな光が溶け合って、ぼんやりと空気に色をつけていた




｢すごい…きれぇ……｣



アーチの中を通る
昼間はどうやら花畑なようでしゃがんでみるとお花が見える


昼間に1回来とけばよかったな




｢ねぇselly、また───｣




横にいるはずのsellyの方に顔を上げるとなぜかスマホが目に飛び込んできた


カシャと遠慮なしになるその機械に3回瞬きをした




え？




｢ちょ、今写真撮ったでしょ｣



｢知らねぇ｣



｢自分のことなのに知らないはないでしょう！
ちょっと見せて！｣



｢やだぁー｣





携帯を高く持ち上げるsellyの手を捕まえるけど、すぐに振り払われる


私は諦めて地面を踏んで頬を膨らます




｢なんだぁその顔｣



｢不満を表してるんです。
これ盗撮でしょ、ダメなやつだよ、selly｣



｢なんのことか。こっち見るな、前に行けぇ｣



｢はぁぁぁぁぁ……。分かったよ
そっちがその気ならこっちも｣




私はポケットに入っていた携帯をショートカットでカメラを起動させて、sellyにそれを向けた




｢おいっ！｣



｢はっははー、sellyの驚き顔ゲットー｣




｢おい待て！｣



｢やだぁー｣

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