【selly】道を間違えずに進めたら良かったのに。2

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｢Aー｣





微かに意識の端で私を呼ぶ声がして息を吸った
返事をしなくちゃという思いがどっかにあったのか、私の崩れた言葉が聞こえる



BGMのような韓国語が聞こえて、あれれとそこで思った
頬に髪の毛が擦れて、そのまま人の手が私の頬を3回突っつく






｢んー、なにぃ｣



｢起きろ、ご飯｣




｢へ……｣





のったりとまぶたを開けると照明とかち合って眩しくてまた目をつぶる

私が目をつぶったことが気に食わなかったのかまたほっぺに攻撃が来てその犯人の腕を私は捕まえた




｢意外と痛い、それ｣




｢じゃ起きろ｣




｢はい｣




犯人のsellyの腕を離して私は目を擦る
そしてそのまま腕を上に伸ばしてようやく目を開けた

ソファーの縁に座ってるsellyと目が合って瞬きを2回

そのまま視線を上げて掛け時計の時間を確認して瞬き3回





｢練習終わり？｣




｢いつの話だ。それとっくに終わったけど｣




｢今ご飯と私を起こしましたよね？｣




｢だからなに｣




｢今10時です｣



｢Aが寝てたんだろ｣



｢起こしてよぉ！｣






体を横にして起き上がる
そのまま足を引き寄せてsellyの方を向いて座った

sellyは惜しげもなく長い足を組んで、私を見てるだけ
なぜいつも通りなのか




だって夜中の10時ですよ？今
家に帰って動画みて15時くらいから約6時間も寝ていた私も私だけど



起こすタイミングどう考えてもここじゃない






｢怒ってるの？｣




｢いや……自分の睡眠意欲に呆れてる｣




そうだ
これsellyのせいじゃなくて、普通に私のせいか




｢はぁー……sellyはお腹すいてる？｣



｢オレは別にいらない｣



｢あ、そうですか。はぁぁ、私どうしよっかな｣





一日を無駄にしたやるせなさというか、情けなさというか

もう面倒だ





私は重力に任せて背もたれ側に倒れていく

左耳をソファーに押し付けながら、ボケーッと向こうに見えるダイニングテーブルを見つめた





｢疲れたの？｣




｢やる気が吸われてナマケモノになってます｣




｢ナマケモノなに｣



｢動物の名前。動くのが面倒ってなるやつ｣



｢あ、Aナマケモノか｣




｢そぉー｣

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