【selly】道を間違えずに進めたら良かったのに。[完結]

【1章】居候始めました。 ページ17

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｢“じゃあね、mondo”｣



｢お邪魔しました｣




チームメイトさんにお礼を言って当初の予定より随分長く居座っていたなと思い返す

チームメイトさんはさっぱりと手だけ上げて｢バイバイ｣とだけ言って扉を閉めた





｢あの、｣



｢んー｣




歩き始めてしまう名も知らない彼を呼び止める

韓国人らしい洋装が見慣れない
声変わりしてないような高い声も聞き慣れない



でも日本人として、立派な大人として、侘び寂びをきちんとしなくてはならないと思った




｢色々、ありがとうございます。これからお世話になります｣




｢日本語教えてくれるならいいよ｣




｢はい、たくさん教えます｣




｢mondoより上手くならないと……自分より頭悪いてオレに言ってくる｣




｢モンドさんって、あのチームメイトの方の名前ですか？｣





さっきからちょこちょこ聞くその単語はきっと文脈的に名前なのだろう

ちょっと前からそうかなっと思っていたけど、韓国の名前っぽくないそれが私の確信にヒビを入れていたのだ





｢あー、やぁー……そう。名前だ、名前
オレの名前もわかるの？｣



｢いえ、知らないです｣



｢……｣




え、おしまい………？

変に会話が止まって私は焦る
名前教えたくないとか……


さすがに今の日本語が分からなかったってことはないと思うけど





｢ヤニカスでいいよ｣




｢ヤニカス…？なんでそんな悪口知ってるんですか……。それ名前じゃないですし、そんな呼び方で人を呼べませんって｣



｢あ、無理か。これ、嘘だ、嘘
sellyのがいいじゃん｣



｢え、もう一回言ってください｣




｢selly｣




｢selly…sellyで合ってますか？｣



｢ん｣





sellyさん


もう一度頭の中で復唱してmondoさんと合わせて忘れないように頭の中にメモをする


命の恩人兼初めての韓国人の知り合い




｢sellyさん｣



｢んー｣




｢いえ、呼んでみただけです｣



｢なんだぁ、それ｣

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