131 ページ31
.
｢A様、そろそろお休みになられてはいかがですか｣
ミラの一言で顔を上げると部屋は暗くなっていた
誰かがロウソクをつけてくれていたおかげで私の周りは明るい
私はペンを置いて目の前の紙を丸めて捨てた
勉強をしててこんなに集中していたのは初めてだ
今はその方が色んなことを考えなくて済むからいいけど…
｢そうですね。湯浴みをして今日はもう寝ます｣
私が休まなきゃミラたちも休めないしね
倒れた時以来なのできちんと湯船に入るのは実は四日ぶりだ
下町にいた頃なんか、雨が降った時ぐらいしか体を洗ってなかったのに数日入らないだけで今ではなんとなく体がかゆく感じる
｢ふぅー…お風呂はいいですね。ミラたちはどうしているの？｣
｢私ども女中は朝に井戸の水で洗うことになってます。｣
………
想像しただけで鳥肌のたつ寒さなんだけども
でもそっか……高級なお湯なんか使えるはずないよね
今はまだ暖かい季節だからいいけど、冬の朝なんか地獄だ
私はそれをよく知ってる
毎朝水を井戸にくみに行くのは私の仕事だったからね
｢もし二人がよければ、このお湯使っていいよ？私が寝た後になるからぬるくなってるかもだけど｣
｢そんな……私どもにそこまでなさって下さらなくても｣
｢勿体ないし、2人が炊いたお湯なんだから｣
｢主の湯船に足を踏み入れるなど｣
私は洗ってもらってる最中なので寝っ転がって天井を見つめているので、2人の顔は見えない
でもミラは険しい顔をしてて、アイラはお風呂に入れることにうっとりしているだろう
そういうことがだんだん分かってきたのだ
四六時中一緒にいることなんか、家族でもそうないからね
｢問題があるの？女中としてお風呂はダメとか｣
｢いえ、そのような決まりはないですが……そもそも事例がないかと｣
｢じゃいいよ。使って？
こんなたくさんのお湯を毎日私1人が使ったら捨てるなんてもったいないと思ってたんだ｣
2人と言わず、自由に女中さん全員に使ってもらっていいけど……さすがに気心知らない人にまで自分の部屋に上がらせるのはちょっとやだなって思う
でもミラとアイラなら大歓迎だ
｢そういうことで、2人とも今日から使ってね。
私が入ったあとで申し訳ないけど｣
｢……多大なる配慮心痛みまります。2人で大切に使わせていただきます｣
｢うん。お風呂はいいよ、疲れてれるから｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 535人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちーず - パールさんブルースター作者おめでとうございます！！こっそりと応援させていただいてました！パールさんの作品が大好きで何周しても飽きません！これからも無理をしない程度に更新頑張って下さい！！ (2021年3月12日 17時) (
レス) id: 49d5e6a1b1 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 夜風さん» ついにやっちゃいました笑次は5000人ですね(白目)これからも頑張ります！ (2021年3月11日 11時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - ruritowakiさん» なんとっ…！嬉しいです！ぜひテスト頑張って下さい！私も頑張ってできるだけ毎日更新します！！ (2021年3月11日 11時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - そうこさん» ついに得ちゃいましたね笑そうこさんにはもう、ほんと…いつもお世話になっおります。ぐらいの勢いです笑 (2021年3月11日 10時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 鈴凛さん» ひょぇ…こんな作品にそこまで時間をかけなくても(汗)責任が…笑私も読み返して誤字とか色々修復しますね！ありがとうございます！ (2021年3月11日 10時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
