勝利を手に入れるのじゃなく、敗北を手放す。【天月】

【2回目】 ページ7

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泣きながら布団にくるまっているといつの間にか寝てしまっていて、起きた時はまた寒い朝だった




なんにもできない虚無感に襲われて、ボケっと同じ天井を見つめていると天井のシミがおかしな怪物のように見えてくるから不思議だ





───ﾌﾞｰﾌﾞｰ




その音がとても怖く思った。




昨日は携帯をどこに置いたっけ
確か充電器にさして机の上に置きっぱなしだったはずだ


それなのに聞こえてくるのはベットの下から





恐る恐る手探りで携帯を探す
でも固く冷たいものにあたって、やっぱりベットの下に転がっていたのは気のせいではなかったようだった


そのまま自分のところまで引き寄せて開くとあるはずもないものがあったのだ





“今日、10時に駅で待ち合わせ”





誰がこんなふざけたことを……そう思ったって現実はそうではない
誰が天月という名前で私にこんなメッセージを送ってくるというのだ



4日前と全く同じ文章に恐る恐る触れて開いた

未読だったものに既読が付いて、そこにあるはずの私たちの会話が一切なくて、そして間違いなく12月4日に届いたメッセージだった




慌てて飛び起きて窓の外を見る


雪がうっすら積もっていて、雪もまだ弱いながら降っていた

あの日と同じ、東京では珍しい雪景色だ





慌てて自分の部屋を出て、ママのおはようも隅についていたテレビの前に立った





｢おい、A……。天気予報見てんだからテレビの前に立つなよ…｣




｢12月4日だ………｣




｢なんだ？誕生日なら任せとけ、彼氏のいない可哀想な娘にプレゼントを買ってやったぞ｣





なんで……なんでよ。

つい昨日まで12月8日だったじゃないか
今日は9日のはずだ



それがなんでまた12月4日になってるのだ





｢おーい、A。頼むからテレビからちょっとズレてくれよ｣




｢ちょっと今話しかけないで｣




｢そりゃないぜー｣

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