49 閑話 [私の姫様] ページ49
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わたくしはアイラと申します。
姫様の女中の1人です。
といっても、同僚のミラほどわたくしは頭が良くないので、基本は片付けや姫様の着替えを担当しています。
姫様との出会いはついこの前で、仕えてからまだ一年も経っておりません。姫様ぐらいの年齢を考えると女中や側仕えとしてのお仕え期間は本当に短いです。
だって!だから!姫様の好きな物とかなんにも、知らないんですもの。好みの食事を暴こうとしても、なんでも幸せそうにお食べになりますから、全く分かりません。
これでは女中としての心積りが……。
そんなわたくしと姫様の数ヶ月の付き合いなのですが、姫様は本当にすごいのですよ!
なんといってもあの髪!
艶やかで、太陽が当たればキラキラと反射させ、どこまでも広がる黒色は誰も彼もを魅了します。
お世話の都合上、その極上の絹糸に触らせて頂けるわたくしのこと立場たるや。誠に恐縮極まりないです。
そんな姫様ですが、育ちが少々特殊なのです。
姫様は幼少期、平民に拐われて平民の家で育てられたのだとか
それを今になって所在が判明したので、城の方に返ってきたというのです。
貴族の中の王族
それなのにあの聖母とも取れるような果てしない海を思わす寛大な親しさ
ミラにもわたくしにも、姫様はお心を尽くして接してくださいます
そして、勉学や芸術、教養など遅れた分を取り戻そうと頑張る姫様は本当に涙が出そうなほど尊敬出来ます
外見も瞳美麗しく、他者へ接する時の心持ちも柔らかい愛情を持っている、
わたくしは姫様が大好きなのです。
「おはようございます、姫様」
姫様の返事を待ってから薄い天幕を開けると、姫様が笑顔でおはようと返して下さります。
女中相手なのに言葉をかけられるなんて、それだけで光栄なことなのに姫様は毎朝して下さるのです
素敵でしょ?
「本日は晴天ですよ。」
「それはよかった。授業1日目から天気にまで見放されなくて」
少々勉強に不安があるのか、姫様の目が陰ります。
でもわたしくしはただの女中。
姫様のお心を探ることなどしてはいけません。
でもせめても。と、いつもよりも暖かめの紅茶をお渡しします。
姫様は、やっぱりなんのお茶か分からないと小さく笑ってから美味しいとお言葉をこぼしました。
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パール(プロフ) - イムム・ルリクリルさん» あ、ありがとうございます。長いですがお付き合いいただけると私が嬉しいです笑。ルビは完全にやらかしです。教えていただきありがとうございます(泣) (2021年4月2日 16時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
イムム・ルリクリル - おすすめに出てきたので、読んでみたら、神作品でした!(真顔)まだ、読み終わってないですが、すごく面白いです!あ、えっとそれでページ15の上から21行目(?)のRubyって、ちゃんとrubyなっていないのは僕のところだけでしょうか…?間違いだったらすみません (2021年3月31日 18時) (レス) id: 22463df6e5 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 乃々夏さん» はじめまして、おはようございます。しょ、書籍化!?そんなですか!?ありがとうございます笑 歌い手様たちの特徴を捕えるのに必死です笑 (2021年1月8日 9時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
乃々夏(プロフ) - はじめまして!!!!なんか好きです←は? 書籍化してほしいレベルです!!!!はぁ…志麻さんのちゃんづけヤバい////(志麻リス) (2021年1月7日 22時) (レス) id: e426f8e368 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 鼎さん» 自分の性癖をぶち込んでいこうと思います笑 (2020年12月24日 7時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
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