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この畑で作られたものを食べたことでもし体調を崩したら、犯人の詳細な調査もなしに彼女らが罰せられるのだろう
なんたって、貴族からしたら平民は無限に湧いて出てくるネズミかなんかだと思っているのだから
私はそれをいやってほど思い知っている
「いいえ。あなたは罰せられないわ」
まさかこんなことで身分が役に立つとは思わなかった
夜もふけっているのに、淑女が1人外を出歩いてるなんて汚点だろう
でもこれは私が蒔いた種で、そのせいで一人の少女が脅えている
だったらちょっと陰口が増えるくらいなら問題はないだろう。どうせ私の印象なんて今のところしょうもないものだろうし
対してあとのことは考えず、取り敢えず今は。という軽い気持ちで上質な布を頭から除けて少女に顔を晒した
みんなが、ご自慢の私の黒髪が夜に溶けて広がる
顕になった頬や首筋がひんやりとした空気にさらわれ熱がゴリゴリ削られていく感じがした
けど少女の顔の緊張がほぐれることはなかった
どうやら私の顔を知らないらしい
「私、ここの寮内で一番偉いの。
だからあなたを罰するこのなんかしないわ
それに私の食べるものに私がなにかすると思う?」
「一番……」
少女は私の言葉を反復するとワナワナと顔色を変えて、次の瞬間には躊躇いもなく土に頭をつけた
その一瞬の出来事に頭が追いつかず、やっと理解した時には少女の鼻をすする音が聞こえた
頭の芯の当たりが一瞬で凍りついた心地だ
血流が勢いよく回って血管が破けるような…そんな気分
冷や汗がぶわっとでた
「ち…ちがっ───」
慌てて少女に駆け寄って、しゃがみこみ霜に濡れた土が付いた少女の手を取る
私と同じ傷だらけの手。労働者の手。
「申し訳ございません。申し訳ございません。
どうか…どうか、命だけは」
震える声。
涙の跡。
冷たい手先。
違うのに。
こんなことがしたかったわけじゃないのに。
思惑よりも遥かに激しく混乱させてしまったことに、なんで。となぜ。が頭を駆け巡る中、あーこれが。と理解をした
私のこの立場はそういうものなのだ。
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パール(プロフ) - イムム・ルリクリルさん» あ、ありがとうございます。長いですがお付き合いいただけると私が嬉しいです笑。ルビは完全にやらかしです。教えていただきありがとうございます(泣) (2021年4月2日 16時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
イムム・ルリクリル - おすすめに出てきたので、読んでみたら、神作品でした!(真顔)まだ、読み終わってないですが、すごく面白いです!あ、えっとそれでページ15の上から21行目(?)のRubyって、ちゃんとrubyなっていないのは僕のところだけでしょうか…?間違いだったらすみません (2021年3月31日 18時) (レス) id: 22463df6e5 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 乃々夏さん» はじめまして、おはようございます。しょ、書籍化!?そんなですか!?ありがとうございます笑 歌い手様たちの特徴を捕えるのに必死です笑 (2021年1月8日 9時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
乃々夏(プロフ) - はじめまして!!!!なんか好きです←は? 書籍化してほしいレベルです!!!!はぁ…志麻さんのちゃんづけヤバい////(志麻リス) (2021年1月7日 22時) (レス) id: e426f8e368 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 鼎さん» 自分の性癖をぶち込んでいこうと思います笑 (2020年12月24日 7時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
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