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「はぁー、疲れた」
自分で椅子を引いて座るとテーブルにだらしなく突っ伏す
自分の部屋なのだからそれぐらい許して欲しいものだけど、ミラの大きなため息が聞こえた
「A様、お手紙の拝見を」
「そうだった。お父様からきてるんだった」
私が面を上げると難しい顔をしたミラと目が合った
アイラも同じく険しい顔をしている
なにか問題でもあったのだろうか
嫌な汗が浮かんできて、私はきちんと座り直した
「失礼しました……。手紙はこちらです」
何故か頭を下げて謝られ、何事もなく手紙を渡される
何か言いたいことがあったのでは無いのだろうか
言い難いことなんだろうか
「ミラ……何か言いたいことがあるなら言って?」
「いえ、私がでしゃばるものではございませんので」
有無を言わさずアイラが横からペーパーナイフを渡してくる
もうこの話はするなってことなんだろうか
モヤモヤだけが残りながらも私は仕方なく、手紙を開封した
これでも私はきちんと勉強しているのだ
日々頑張った甲斐もあって、読み書きくらいならばある程度スムーズにできるようになった
……といってもこんなの、貴族だったら物心着く頃にはできていて当たり前のことなんだけど
「───護衛……。お父様から護衛をつけなさいって」
「はい。基本、王族には貴族の騎士の家系のものが側仕えとして数人つくのが当たり前です
私共ではいざという時何の役にも立ちませんので」
「もちろん我々も盾として最後まで姫様を守ります」
アイラが平然と自己犠牲を申し立てた
何言ってるの。と手紙から視線をあげて2人を見ると、ミラは素知らぬ顔でいつも通りであったし、アイラは私の役に立てます。とでも言いたそうな笑顔であった
命が平等でないのは分かっていたけど…、その真意を見てしまった気がして怖くて直ぐに手紙に視線を戻した
「護衛っていっても……誰が騎士の家系なのかも私あんまり分かってないよ」
「姫様がよろしければ、私が餞別をして
その後に姫様が直接話して決めるというのはどうでしょう」
「うん。そうしましょう」
護衛か……。
本当は自分の身の回りにさらに人が増えることが嫌だ
あと問題なのは、ミラやアイラと違ってその護衛の人は私を本物のプリンセスだと思っている事だ
四六時中気が抜けないなんて……こうして話す時も口調だの仕草だのに気を配ることを思うと気が沈んでしまう要件だった
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パール(プロフ) - イムム・ルリクリルさん» あ、ありがとうございます。長いですがお付き合いいただけると私が嬉しいです笑。ルビは完全にやらかしです。教えていただきありがとうございます(泣) (2021年4月2日 16時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
イムム・ルリクリル - おすすめに出てきたので、読んでみたら、神作品でした!(真顔)まだ、読み終わってないですが、すごく面白いです!あ、えっとそれでページ15の上から21行目(?)のRubyって、ちゃんとrubyなっていないのは僕のところだけでしょうか…?間違いだったらすみません (2021年3月31日 18時) (レス) id: 22463df6e5 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 乃々夏さん» はじめまして、おはようございます。しょ、書籍化!?そんなですか!?ありがとうございます笑 歌い手様たちの特徴を捕えるのに必死です笑 (2021年1月8日 9時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
乃々夏(プロフ) - はじめまして!!!!なんか好きです←は? 書籍化してほしいレベルです!!!!はぁ…志麻さんのちゃんづけヤバい////(志麻リス) (2021年1月7日 22時) (レス) id: e426f8e368 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 鼎さん» 自分の性癖をぶち込んでいこうと思います笑 (2020年12月24日 7時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
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