婚約者を幸せにしたい。【まふまふ】

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それから私は両親と離れたことを悲しむ時間もなく、教育の嵐だった



まずは文字の読み書き
領地内の教養の勉強


それに話し方や歩き方。マナーや常識。



ご飯の食べ方だったり、ダンスだったりそれはそれはもう、寝る暇なく食べる暇なく目白押しだった

もちろん、そこまで身になってないと思う……
でも取り敢えず見苦しくはないように、作法と言葉遣いは先生方が必死となって叩き込んでくるので私もその形相に駆り立てられる形で自分に何とか落とし込んだ


そんな忙しい生活に一度も弱音を吐かず耐えられたのは、自分の立場を考えて…とかじゃなくてやっぱり両親との関係を切ってしまったという事実を考えなくて済むからだと思う





そして漸く今日、“まふまふ”様とやらに逢うらしい






｢A様、そのような顔をされてはなりませんよ｣


｢分かっていますよ。でも、人と逢うのは久しぶりで緊張します｣




こんな平民上がりの私が城を歩けるはずもなく、ひたすら与えられた部屋の中だけでお嬢様講座を受けていたのだ



どれもこれも今日この日のため。






｢お噂ではとてもお美しい顔立ちだとか｣



｢物静かで、そのミステリアスがたまらないんだとか｣



｢でも、性格に難ありなんでしょう？｣





私が結婚する予定の相手は、どうやら才色兼備らしいのだが、どうも人嫌いのてらいがあるようだ




隣国はとても土地が広いくて、自然も豊富らしい
対して私のいる国はとても小さな国で細かな産業が得意らしい


だからどちらも手を取り合いたいという考えだったんだが、一番手っ取り早く交渉の切符に使える子供が生憎この国におらず。



でもうちの王様はビックマウスなようで、“そちらの王子にあった娘がいる”と法螺(ほら)を吹いたらしい



そして選ばれたのが私。







私のやることは、その性格難ありの隣国のイケメン王子を落として結婚まで持ち込むこと


あちらの国の王様は息子大好きなので、息子が望まないことはしたくない。とか言って、婚約なんてとっくに決まってるはずの年齢になっているというのに、その自慢の息子は好き放題。自国はド田舎と笑われているらしい。


食料豊富で私的にはいい国なんじゃないかと思うけど





｢準備が整いました｣


｢ありがとう｣





もう着させてもらうのも慣れたものだ

手を広げて待っていれば、勝手に終わっている
変に気を使って動くと邪魔らしい









今日のドレスは薄い黄色



この春の陽気にピッタリだ






｢では参りましょう。｣

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