私に彼を会わせて下さい【そらる】

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.そらるside





｢そーらーるーさーーーーん｣


放送中だと言うのに
いやそんなことはどうだっていい



試合中だと言うのに、まふまふという男は書類を丸めた束で俺の頬をグリグリとしてくる


｢やめろ、うざい
あっち行けって｣


｢はーやーくーー｣



まふのおかげで、コメント欄が一大事である
目まぐるしく流れる文字に目が回りつつ
試合にも集中したいし、まふまふも退けなきゃいけない



「そーらーるーさぁーーーん」



こいつは何がどうしてこんなことをしているかと言うと


決して寂しいからかまちょしているのではなく
いや少しはあるのかもしれないが。



先程、半場流れ作業になってしまった仕事に不備があったのだろう

それをどうにかしろってさっきから訴えているのだ



｢わかったって
この試合終えたらやるから｣



｢はーやーくーー｣



さっきからこの繰り返しである

まったく、もう少し大人になって欲しいものだ


そんなこんなで試合には負け、俺の膝の上に頭を乗せて寝っ転がりながら携帯をいじるまふに、ひと睨みきかせてからため息をつく


｢じゃ、この通りだから放送これでおしまい
来てくれた人ありがとうございました｣


締めの味なんか存在しないったらありゃしない
放送を終え、ゲームの電源を落とす


｢おい、まふ。頭どけろ｣


｢そらるさんがいけないんです｣


目的語なんて皆無だし、俺が悪いのは、それはもちろん当たり前のことなのだが

全く言葉のキャッチボールになってないのだ



｢どいてくれなきゃ、作業できないだろう｣


｢もーいいですよ、しなくても｣



何をふてくされているのか、頬をふくらましながら携帯をひたすらいじっている

全く一体いくつの赤ん坊だ


｢まーふー、全部終わったら一緒にスマブラしよ
だから早く、作業終わらせなきゃだ｣


｢むぅ……それならば、仕方ありませんね｣



何が仕方ないのやら

渋々ごろりとそのまま横に回転して、俺の足から転がり落ちる



｢お前の方がよっぽど猫だよ｣


｢はんぺん｣


｢侮辱｣



そんなやり取りも可笑しくて、笑いそうになるのをよしっと言って立ち上がることにより払拭する


｢早く終わらせてくださいね、スマブラが待っています｣


｢その前にお前には俺の作業の確認が待ってます｣


｢………。
早くやってきてくださいっ！｣


今度こそ耐えられなくて、クスッとしてしまった

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