私に彼を会わせて下さい【そらる】

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実は、そらるさんがこの嵐の中、帰れる方法が一つだけ思いついているのだ

それを言わないのは、私が欲張りだから
だからこれ以上望んではいけない


｢あの！そらるさん｣


｢なに？思いついた、お礼｣


｢い、いやそうじゃないんです。そらるさんが帰れる方法を知っています
それもずっと前から｣


じーと大きな瞳が私を見ている
いたたまれなくなってさっと視線を外す


仕方ないだろう。
だって後ろめたいことばかりなんだもの


｢タクシー……呼べばいいと思うんです｣


｢あぁ……なるほど。その手があった
すっかり忘れてたよ｣


俺あんまり外でないし
と付け足してゲーム画面のコンティニューを押す

え？……っと、え？なぜコンティニュー？


｢もう少しだけ遊んでいっちゃダメ？
嫌ならすぐ帰る｣


｢……い、いえ……全然構わないのですが
どうしてですか？そらるさんにはなんのメリットもないじゃないですか｣


｢願わくば夕飯食べられないかなーって｣


｢夕飯……ですか？｣


｢だって台風、7時頃には止むんでしょ？｣


そうだよね天気予報士さん？っと私に訪ねてくる
私もはい。と答えるしかなくて、というか頭が追いついていない


｢つまりは止むまでここにいると｣


｢だってオレスマホしか持ってないからタクシーで帰れないし｣


｢本当ですか？｣


｢本当に｣


｢7時までいてくれるんですか？｣


｢そうするしかない｣


タクシー代なんて私がいくらでも払うというのに、あと5時間以上も一緒にいれると思うと本当に嬉しくって舞い上がって


余計なことは口に出さない


｢てことで、次の試合ペアでやろ｣


｢足引っ張るかもしれませんが、したいです｣


｢大丈夫。どっかの猫よりは上手いよ｣


きっと96猫さんなんだろうなーとクスクス笑う
こんなこと言って仲いいんだから、そらるさんはツンデレである

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