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「あ……えっと。はい。本当にすみません」


彼も困っている
そりゃそうだ。

いきなり話しかけてきて、雨強くなりますよ?とか家どこですか?とか


変人以外の何者でもない
あの時そらるさんなんて呼ばないで、あのーとかすみませんとか


私は歌い手さんなんて知らない一般人です


の風を装っておけばこんなに警戒されることもなかったかもしれないのに


「あの、この傘使ってください!
私、家近いので。走って変えれば問題ありません
その傘、いらないかも知れませんがあげますので……お礼とかそういうの期待してるわけではなく

その……だから……あの、返さなくてもいいので、ぜひ使ってください」


そう言って傘を差し出す
二人揃って顔だけ傘に入り、これはどういう形であれ相合傘なのではないだろうか

とこんな状況ながらも興奮する


「それは悪いですから」


「私がしたくってしてるんです!
その、そらるさんがもし万が一にも体調を崩されたら私も悲しいので」


ぜひ、ともう1度傘の柄を押し出す
そらるさんはマスクをしているけれど多分今困った顔をしていて


恩着せがましいかったかなと反省
自然に下向く視線に、雨で出来た小さな薄い水溜まりが私の顔をぼんやりと写している


「俺も悲しいので、その……リスナーさんが体調崩されるの
だから、もらえません」


言葉を選んで選んで最終選考まで残った言葉
スマホ越しでも画面越しでもイヤホン越しでもない

今目の前にいる私のための言葉なのだ


少し舞い上がって……いや、かなり舞い上がっていたのだろう


「では、私の家まで来るというのはどうでしょうか」


「えっと……?」


私は何も説明しないまま、どこにそんな勇気があったのか


そらるさんの細くて白い腕を掴んで歩き出す
そらるさんは初めは足が動かなかったけれど、私が手を離さないのを見てか付いてきてくれる


もちろん傘に二人で入って


これが私の願った結果なのだ

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設定タグ:そらる , 歌い手 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛
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パール(プロフ) - 椿さん» はっ!私のページに飛んでいただければ、いまパート二まで書いてます!わかりずらくて申し訳ないです。よろしければお読みください (2019年4月5日 7時) (レス) id: 432a657fc6 (このIDを非表示/違反報告)
椿 - パールさん» 楽しみにしていた作品だったので、残念です。続きを楽しみにしています、頑張ってください! (2019年4月4日 12時) (レス) id: b287b685ba (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - すみません!作品パスワードが分からなくなってしまったので、新しく作り直させてください!!大変申し訳ありません!! (2017年9月28日 21時) (レス) id: d11f75bf22 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パール | 作者ホームページ:http  
作成日時:2017年9月28日 18時

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