最終回 ページ42
「……あ。また僕がパパに似てるとか思ったでしょ!まったく、ママが僕を見つめてる時は毎回そうなんだから」
「あはは、バレちゃった」
「でもやめて。パパに似てるとか、ほんとやだ。僕、あんな笑顔じゃない」
この子はパパの話になると、年ごろの娘みたいな厳しいことを言う。
「なあに?また俺の悪口言ってるの?そんな暇あったら、さっさと支度しなさい」
Aが我が子の発言に笑わされていると、本人登場だ。精市がやって来た。
「うわ、パパ来た」
「そういう事言わないの。ほら、そろそろ出発するから。コート着て、お靴選んできて」
Aに言われた少年は素直に頷き、パタパタと廊下へ走っていく。
精市は、その背中を寂しそうに見届けた。
「__なんかさあ、俺嫌われるの早すぎない?まだあの子と出会って、たった5年だよ?」
「そうだね。あの子が言うには、『お父さんはお母さんをひとりじめするから嫌い』らしいよ」
「あー……それは仕方ないな。Aは俺のものなんだから」
精市が呟くと、廊下の向こうから、「僕のだよーっ!」と怒った声が聞こえてきた。
とんだ地獄耳だ。
Aと精市は顔を合わせ、同時に吹き出した。
お父さん、お母さん、聞こえますか。
私の夫や孫の顔も、見えますか?
同居なんて、最初は冗談じゃないと思ってた。
同じ部屋なんて聞いた時には、絶望しかなかった。
それなのに、いつの間にか付き合うことになって。
リフォームが無事終わって、私の部屋が完成した時には、少し残念な気持ちまで芽生えるようになっていた。
私は、精市のことを愛している。息子のことも、あの立海の仲間たちのことも。
宝物に囲まれて、私は今、とても幸せです。
--fin.
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桜田 しおり(プロフ) - 完結お疲れ様でした!素敵な作品に出会えて本当に幸せです、、またどこかでお会いできることを楽しみにしてます(^ ^) (2019年4月4日 17時) (レス) id: ef32a79d1d (このIDを非表示/違反報告)
萌々(プロフ) - 瑠璃さん» 今の今まで寝てたんですけど、嬉しくて目覚めました!ありがとう〜〜!! (2018年12月8日 10時) (レス) id: 20628541ca (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 本当に最高でした!!跡部の友情出演もほんとに好き( ; ; )この作品に出会えてよかったです!!! (2018年12月8日 2時) (レス) id: 2eb96c37cc (このIDを非表示/違反報告)
萌々(プロフ) - 0525_snoopyさん» ほんとですかー!ありがとう!嬉しいです!機会があったら、他の作品もぜひ読んでいってください。作品って言えるレベルじゃないですけど... (2018年12月6日 20時) (レス) id: 20628541ca (このIDを非表示/違反報告)
0525_snoopy(プロフ) - とってもとっても読んでいて気持のいい作品でした!!ステキな作品に出会えてよかったです。 (2018年12月6日 19時) (レス) id: bac5a7f004 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:萌々 | 作成日時:2017年7月27日 19時