昔のいじめっ子と付き合うとか冗談じゃない

最終章 ８話 ページ40

(＿＿これが、俺たちのこども)


「え？……え？やだなに、泣いてんの？」


「ごめ……」


「ほんとに泣いてるじゃん。ほら、ティッシュ使って」


Aは楽しそうに笑い、ティッシュボックスごと差し出してくれた。


ありがたく一枚受け取って、目元をふく。


「＿＿帰って早々、怒ってごめんね」


「はは、いーよ」


「焦って言うの忘れてたけど、赤ちゃんができたこと、本当に嬉しい。ありがとうA」


そう言って抱きしめると、Aは「はいはい」と答えた。


でも、俺にはわかる。Aは今ちょっと照れていて、適当に聞こえるこの返事はただの照れ隠しだ。


「俺、絶対に守るから。Aのことも、俺たちの子も」


Aの肩を掴んで、目をしっかり見て伝える。


「はい、頼みました」


「自信も、もっと持つことにする」


「うんうん、そうして。もし赤ちゃんが男の子だったら、今の精市のままじゃ子どもにまで嫉妬しそうだもん」


・・・ 。


「……あ、今自分でも『たしかに』って思ったでしょ？」


思った。


今より美しくなったAと、Aを追っかけ回るこども。


どうしよう。『大きくなったらママと結婚するんだ！』なんて宣戦布告してきたら。


そんな時は多分、『へえ。でも、ママは割りと昔からパパのものだけどね』なんて言って、大人げない返事しかできないんだと思う。


「＿＿それでも、守るよ。これからAはつらい時期に入ったり大変だと思うけど、俺が支えるから、俺を頼ってほしい。頑張ろう。……この子をさずかってくれて、本当にありがとう」

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