最終章 ７話 ページ39
正直、俺は跡部に対し、敵意むき出しだ。
それには、ちゃんと根拠がある。
この家の掃除機と冷蔵庫は、Aが跡部と相談して買ったものなんだ。
普通、そういうのって夫婦で仲良く決めるものじゃないの？そりゃ跡部のアドバイスは的確だろうけどさ……。
こんなふうに、Aは困った時や悩み事がある時は、第一に跡部に相談しがちだ。俺はそこが不満で仕方がない。
けど仲良くするなと言うのはさすがにおかしいし、跡部はちゃんと俺たちのことを応援してくれているのだ。＿＿本当に参るよ。
「まだ何か言いたげですね、旦那さま」
隣に座るAが、幸村の頬を軽くつねる。
幸村はそれをされたままにして、頷いた。
「なんとなく分かるよ。景吾と仲良いのが気に入らないんでしょ？ほんっとーにヤキモチ妬きよね」
「……跡部とAが仲良すぎるんだよ」
「もっと自信を持ちなさい！」
「いひゃっ！」
幸村がぼやくと、Aは頬を引っ張ってそのまま手を離した。
激しい痛みのあと、じんじんと熱くなる。
「……って、まあ私があんまり思いを伝えないのがいけないんだよね。ごめん。私精市のこと、好きだし愛してるよ」
「……軽いなあ……。珍しいからものすっごい嬉しいけど」
「精市は私の旦那さんなんだからさぁ、もっと斜に構えてなよ。それに、神の子なんだし。学校一モテてたんだし」
「……奥さんがこんな男前だし、負けたら困るし……。うん。自信持つことにするよ」
若い時、俺は自信満々だったはずなのに。(※ まだ23歳)
その自信はテニス限定だったのかわからないけど、とにかく、Aに関して俺は全然余裕になれないみたい。
それから普通、『言葉足らずだから不安になっちゃうよね、ごめんね』と謝るのは男の方だと思う。
まったく、本当にかっこいい奥さんだ。
「あ。そうだ、あれ見る？」
そう言って立ち上がったAは、電話の置いてあるローキャビネットまで行き、何かを持ってソファに戻ってきた。
「……母子、手帳？」
「そう。市役所でもらってきた。これ見てると、お母さんになるのかーって実感わくよね」
「……お母さん…」
「あっ、あとこれ見て！」
Aが畳んであった紙を開くと、それは白黒の写真だった。
「お腹のエコー。ここ、わかる？ちっちゃいけど、ちゃんと赤ちゃんいるの。最近太ったかもーくらいにしか思ってなかったけど、もう7週目だったらしくて」
Aが指さしたところには、小さな小さな人がたの何かがあった。
言われなきゃ、赤ちゃんだってこともわからない。
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桜田 しおり(プロフ) - 完結お疲れ様でした！素敵な作品に出会えて本当に幸せです、、またどこかでお会いできることを楽しみにしてます(^ ^) (2019年4月4日 17時) (
レス) id: ef32a79d1d (このIDを非表示/違反報告)
萌々(プロフ) - 瑠璃さん» 今の今まで寝てたんですけど、嬉しくて目覚めました！ありがとう〜〜！！ (2018年12月8日 10時) (レス) id: 20628541ca (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 本当に最高でした！！跡部の友情出演もほんとに好き（ ; ; ）この作品に出会えてよかったです！！！ (2018年12月8日 2時) (レス) id: 2eb96c37cc (このIDを非表示/違反報告)
萌々(プロフ) - 0525_snoopyさん» ほんとですかー！ありがとう！嬉しいです！機会があったら、他の作品もぜひ読んでいってください。作品って言えるレベルじゃないですけど... (2018年12月6日 20時) (レス) id: 20628541ca (このIDを非表示/違反報告)
0525_snoopy(プロフ) - とってもとっても読んでいて気持のいい作品でした！！ステキな作品に出会えてよかったです。 (2018年12月6日 19時) (レス) id: bac5a7f004 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：萌々 | 作成日時：2017年7月27日 19時
