最終章 2話 ページ34
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「もしもし?」
〈__俺だ。今、電話いいか〉
「うん。ちょうど手空いてるよ」
洗濯物を畳み、すべてタンスにしまい終えたところで電話がかかってきた。
相手は、跡部景吾。
8年経った今でも、彼とは連絡を取り合っていた。
私が悩んでいる時は彼に連絡して、彼もまた、何かあるたび私に相談事を持ちかけてくれる。私はそれが嬉しい。
私は呼び方を『景吾』と改め、景吾の一人称は『俺様』から『俺』になった。
俺様というのも彼には似合っていたけれど、さすがに大人が言っていたらおかしいよね。
しかし景吾は忙しくて、会ったのは私と精市の結婚式が最後。
「何かあった?今度の秘書も無能だったとか?」
景吾は大学卒業後、すぐに跡部グループの取締役になった。
最初はまわりが自分を七光りとしか扱ってくれないのが不満で、ずっとイライラしていたけれど、彼の実力が知れ渡るまでにそこまでの時間は要さなかった。
今はしっかり取締役がすべき仕事をこなし、父親に、会社に、とても頼りにされている。
最初に景吾についていた秘書が何も出来なくて、その人についての愚痴は何度聞いたことか。
その秘書はしまいに自分の都合で会社を辞め、景吾の怒りはとっくに頂点をぶち破っていた。
〈いや。今度のは使えそうだ。樺地みたいな安心感がある奴が来たからな〉
「はは、それはよかったじゃん!でもそれなら、今日はどうしたの?もしかして、マリッジブルーにでもなった?」
そう。
景吾は、この秋にお嫁さんをもらう。
取引先のお嬢様と聞いて、始めはどんなわがままな子が来るんだろうと心配だったけれど、どうやらとても健気な子らしい。
『あいつが小花なら、Aは岩石』と言われて軽くショックを受けたことがあるけれど、景吾がいい子と出会えたなら、本当によかった。
〈そんなんじゃねぇよ。めでたいことに、結婚は順調だ〉
「そっか。それならよかった!……あでもずっと思ってたんだけど、あの人のことはいいの?」
〈あの人?〉
「ほら、前に言ってたじゃん。『忘れられない人がいる』って」
あれは、高校生の時だっただろうか。
精市と喧嘩して景吾に相談した時、話は景吾の話に移った。
私が、『景吾くんは付き合ってるとかいないの?』と聞いたからだ。
すると彼は、
『好きな奴はいるが、向こうにも好きな奴がいるから叶わない』と。
想いを告げたことはあるのかと聞いたけど、それはないらしい。
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桜田 しおり(プロフ) - 完結お疲れ様でした!素敵な作品に出会えて本当に幸せです、、またどこかでお会いできることを楽しみにしてます(^ ^) (2019年4月4日 17時) (レス) id: ef32a79d1d (このIDを非表示/違反報告)
萌々(プロフ) - 瑠璃さん» 今の今まで寝てたんですけど、嬉しくて目覚めました!ありがとう〜〜!! (2018年12月8日 10時) (レス) id: 20628541ca (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 本当に最高でした!!跡部の友情出演もほんとに好き( ; ; )この作品に出会えてよかったです!!! (2018年12月8日 2時) (レス) id: 2eb96c37cc (このIDを非表示/違反報告)
萌々(プロフ) - 0525_snoopyさん» ほんとですかー!ありがとう!嬉しいです!機会があったら、他の作品もぜひ読んでいってください。作品って言えるレベルじゃないですけど... (2018年12月6日 20時) (レス) id: 20628541ca (このIDを非表示/違反報告)
0525_snoopy(プロフ) - とってもとっても読んでいて気持のいい作品でした!!ステキな作品に出会えてよかったです。 (2018年12月6日 19時) (レス) id: bac5a7f004 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:萌々 | 作成日時:2017年7月27日 19時