昔のいじめっ子と付き合うとか冗談じゃない

１１１話 ページ21

Aから間抜けな声が出た。


精市は黙ってAを見つめていたけれど、それが５秒ほど続くと、はっと我に返った。
やっとAの頬から手を離して、自分の口元を覆う。


「あああ！こんな風に言うはずじゃなかったのに……。カッコ悪すぎ……」


精市が力なくしゃがみ込む。


「……え？……ええ？」


「忘れてくれないかな……。…無理か。あーっやり直したい！」


頭をガシガシと掻く精市が、普段と違いすぎて唖然とする。


「あのー……ひとりで取り乱してるとこ悪いんだけど、置いていかれてる私のことも思い出してほしい」


Aが遠慮がちに話しかけると、精市は顔を上げた。


やっと目が合う。


「＿＿好きだよ。A」


.


.


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「え……でも、何で」


「さすがAだよね。雰囲気もクソもない」


Aが聞くと、精市はため息をついた。


「く、くそって」


「告白の返事は、yesかnoかなんだけど。『何で』ってなに？」


精市に目を細められ、Aは「いや、あの……」としどろもどろになる。


「……あ、でもそっか。Aは、俺のこと嫌いなんだっけ？」


「え？」


「だってさっき、そう言ってた」


「あ……」


そういえば、つい強がる癖で言ってしまった。


『私だって、ずっと私のこといじめてた奴なんか、嫌いだし』


.



.



.



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「俺はAが好き。Aは？ちゃんと答えを聞いておきたい」

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