爆豪勝己の爆発的恋愛物語 (ページ10)

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episode9 ー突風ーページ10

学校に着くと、私たちは別れる。
小学生のときは同じクラスだったが、中学生になってからはずっとクラスが違う。

授業中、私は先生のつまらない話を頬杖をつきながら聞いていた。

すると聞こえた隣のクラスからの聞きなれた、バカでかい声。

｢せんせえーー！皆、とか一緒くたにすんなよ！｣

｢俺はこんな没個性共と仲良く底辺なんざ行かねーーよ。｣

｢模試じゃA判定！俺は中学で2人しかいねぇ雄英圏内！｣

｢あのオールマイトをも超えて俺はトップヒーローとなり、必ずや高額納税者ランキングに名を刻むのだ!!｣

あーーー…ばっちり聞こえてるよ、勝己。
ってか、何気に 2人しかいねぇって、私の事入れてくれてんだ。

なんだかちょっと嬉しくて、一瞬頬が緩んだ。

あ、いけない。1人でニヤついてたら気味の悪いやつだ。

｢はーい、それじゃあ進路希望プリント配るよ～｣

前のやつ(名前は知らない)からプリントが回ってきた。

勿論私は第1志望の欄に «雄英高校» という文字を書く。

｢まぁでも、みんなはヒーロー科志望だよね～｣

担任の気の抜けた声に、クラス一同が個性を少し使用しながらはーい！なんて馬鹿げた返事をする。

ｶﾞﾀｯ…

『先生、やめてください。«皆»とか一緒にしないで。』

気付けば私は、席を立ち上がってそんなことを口走っていた。

クラス中の皆がこっちを唖然とした表情で見る。そりゃそうだ、普段なら絶対に学校では必要最低限しか喋らないし、クラスには友達と呼べる人なんていない。

ただ、担任の言葉がむかついた。

『私は、この中学で2人しかいない雄英圏内。私は必ず合格して、オールマイトをも超えるトップヒーローになる。』

私は、ﾆｯ、と片方の口角を上げて笑った。きっとそれは、勝己さながらの悪顔だろう。

しかも、笑った時に私の個性で教室に突風が吹いてしまった。

お陰で教室中がｼﾝ…と静かになった。担任も口を開けて呆然としている。

私はその様子に満足して、着席した。

…これは、恐らく勝己の教室まで聞こえているだろう。