桃色ストーリー 3 (ページ9)

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　夏「ほいで、渡せへんかった、と」

　『そうやねん……』

　ピーチーズBar収録のために控えてるとき
　なんとなく、なっちゃんにボヤいてみた

　夏「あげたらええやん、普通に
　いつもありがとう〜って」

　『普通が難しいやん
　タイミングないし…』

　夏「らしくないやんか、どないしてん」

　心配しよるんか
　楽しんどるんか
　ニヤニヤしながら聞いてくる相方

　別にどーもせーへんけどさぁ……

　夏「まぁでも今からごっつい忙しなるし
　和牛だって引っ張りだこやから…
　次会えるんはー…
　秋山さんの披露宴ちゃう？？」

　収録も見事にあんま被らへんしな
　ってスケジュール帳見ながら確認しとる

　

　披露宴…って七月やんか！！

　

　『も、もうマジで……
　渡すタイミングあらへんやないか！』

　夏「まぁそんな心配する暇ないくらい
　忙しくなるし…
　七月までは先やし、渡し方でも考えときなや」

　ほら、行くで
　ってスタジオに促される

　

　…同じ番組に出演してるのに
　プライベートで会えへんなんて寂しいなぁ

　

　昔はいつも一緒に
　馬鹿して笑ってたのに

　

　
　和牛が売れてることの嬉しさと
　会いにくくなった寂しさで
　ため息が溢れた

　リ「どうしたんA」

　今日のゲスト、見取り図のリリーが
　背後から話しかけてきた

　『わぁ！びっくりしたぁー…』

　振り返ると
　そんなに驚かんやろって笑ってくる
　いや、気配消してこんといてってば

　リ「ため息つくなんてらしくないやんか」

　『…いやぁ上手くいかんことあって…
　って！またタメになっとるっ！！
　一応うちの方が先輩やねんでっ』

　もー！と怒っても
　笑って流されるだけなんよな、いつも
　人前ではちゃんとタメやないからまだええけど…

　リ「ほら、行くで
　今日はもてなしてくれるんでしょ、先輩」

　そう言いながら
　クシャクシャっと髪の毛を撫でられる

　『わ、わかっとる！
　任せとき、とびきりのおつまみ用意するわ！』

　リ「めっちゃ気合入ってますやんか」

　笑いながらそそくさと先に行ってまう

　

　調子狂うけど
　リリーなりの励ましなんかな

　

　

　おかげさまで収録は順調やったけど

　でもやっぱり心の中で
　賢ちゃんの事がつっかかったままやった

　