桃色ストーリー 3 (ページ38)

今日:34 hit、昨日:15 hit、合計:35,618 hit

..... ページ38

　
　
　川「でもA、本調子やないやろ」

　賢ちゃんが真剣な顔して
　私の顔を覗き込む

　川「なんか、隠しとるやろ
　 …我慢、しよるやろ」

　『…なんで…？』

　川「そりゃ見とったら分かるわ」

　ぎくっと固まった私の頭を
　ふわり、と撫でてくれる

　川「ずっとAのこと、見てきたんやで、俺」

　『……！』

　川「知らんかったやろ」

　ぎゅうっと賢ちゃんの手を無意識に握る

　川「俺の前やったら
　…我慢せんでええやん」

　ぶつけてこいよ
　って両手を握ってくれる

　我慢してたものが
　一気に溢れ出た

　不安定やった気持ちが
　もう我慢したくないって
　目からボロボロ溢れる

　『こわ…かってん……』

　川「うん」

　『で、でも我慢しなあかんって…
　う、うち…』

　川「分かってる」

　『あ、あんなことっ、されて…！
　くやしっ…』

　呼吸もできんくらい
　底から何かがせり上がってくるみたい
　
　

　苦しかった
　怖かったし
　辛かった

　

　もう前みたいに戻れるような
　居場所もなくなってるんやないかって
　すごい不安やった…

　川「A」

　涙で掠れた視界の向こうで
　賢ちゃんが優しい顔で笑っとる

　そういえば、いつもこんな顔で
　私のこと見ててくれてた

　川「よーたえたな」

　もうその一言で強張ってたものが
　解されたような気がして

　わんわん泣いてたら
　賢ちゃんがふわりと抱きしめてくれた
　
　