桃色ストーリー 3 (ページ27)

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Natsuki Side
　
　
　あの事件以降
　あの変質者には接近禁止令が出た

　本社も本格的に奴と戦うために
　早速弁護士を雇ったらしい

　

　Aはというと
　引っ越しを無事終わらせた

　けど

　ただでさえ恋愛経験がないのに
　ストーカーの被害にあって
　押さえつけれて脱がされて

　結果、トラウマを植え付けられた

　そのせいでちょっとしたことにも
　過敏に反応してまうくらい
　精神が参ってもとる

　

　本社からは
　Aの状態が難しいならば
　無理せずしばらくは俺だけの活動でもいい
　と気遣いの電話もあったから
　今はそれに甘えさせてもろてる

　

　引っ越しはしたけど
　一人で夜を過ごす事ができへんし
　それ以前に静かな部屋に一人でおれへん

　ということで、落ち着くまで
　俺の部屋で寝泊まりすることになった

　

　ゆっくり過ごしながら
　Aの好きなアパッチを淹れてあげる

　デビューしたての同棲してたときから
　嬉しそうに飲んでたやつ

　

　ホッとした顔になりながら
　美味しそうに飲むAに
　俺も少し安心する

　

　けど…
　やっぱり元気がないAを見て
　俺は決心する

　

　夏「なぁ、A
　 …お前このまま、ちょっと休んだ方がええわ」

　『…なんで？？』

　夏「…男のお客さん見て、お前漫才できるか？」

　返事もできずに項垂れるA

　あれ以来、Aは男性を見ると過呼吸になったり
　震えが止まらんくなったりする

　かろうじて、俺は平気らしい
　なんか嬉しいような悲しいような複雑やけど
　Aに拒否されんくて良かったと心から思った

　
　『…でも…』

　夏「…少しずつでええやん」

　返事はないけど

　夏「今は任せて、お前はゆっくり休んどき」

　な？とAを見るけど
　その顔は前みたいに笑うことはない

　でも

　俺に今できることは

　Aを見守ること

　……それだけなんや

　