桃色ストーリー 3 (ページ22)

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Natsuki Side
　
　
　着替えに一旦ロケバスに戻ったAが
　なかなか戻ってこーへん

　鰻「…Aちゃん遅ない？」

　夏「……遅いですね」

　橋「女の子やからいろいろあるやろ」

　夏「いや…普段こんなにかからんのですけど…」

　違和感しかない
　なんか嫌な予感もする

　そういえば
　シュシュ預かったままやけど
　ロケバスの中で髪整えへんかな、あいつ

　シュシュを手の中で弄んでたら
　鰻さんがのぞき込んできた

　鰻「あれ、それAちゃんのちゃうん？」

　橋「いつも同じやつ、つけとるなぁ」

　夏「…俺、シュシュ渡してきますわ」

　

　ロケバスの外から声をかけようとしたら

　なんか様子がおかしい

　

　…鍵……しまっとる…？

　

　あいつ着替えのときいつも鍵閉めへんのに

　いや、閉めろ閉めろとは言うててんけどな
　でも10年以上閉めたことなかった
　

　……嫌な予感しかせんっ…！

　

　夏「ちょっ！…鍵開けてください！！」

　鰻「ど、どうした夏？？」

　橋「なんやなんや？？」

　銀シャリの二人が駆け寄ってきたと同時に
　スタッフさんが鍵を開けてくれる

　夏「A！！」

　急いでドアを開けると

　後部座席の方で見知らぬ男が
　Aに覆い被さっとる

　夏「っ、何しとんねん！！！」

　自分でも出したことない声で
　男をAから引っぺがす

　ゴンっ！と後頭部が窓にぶつかる音が聞こえたけど

　知るか

　目の前にはブラウスがはだけて
　上半身が露わになって
　震えてるAの姿

　

　夏「大丈夫か！？Aっ！A！！
　 …A！？しっかりせぇ！A！！！」

　

　着ていた衣装のジャケットを脱いで
　Aの上半身を隠すように覆う

　

　暴れとったけど
　ハッ、とAが気づき
　ゆっくりと俺の目に焦点を合わせる

　

　『…なっ……ちゃん……？？』

　夏「Aっ、大丈夫や！
　もう大丈夫やから」

　震えとるAの体を
　力いっぱい抱きしめる

　

　するとAが少しずつ俺を認識して
　かすれた声で
　怖かった、と訴えた

　

　後ろでは銀シャリの二人とスタッフさんが
　変質者を取り押さえとる

　

　鰻「Aちゃん大丈夫か？！」

　橋「暴れるなっ…！！
　警察、警察よんでっ」

　

　必死に変質者を取り押さえとるけど

　

　その時何を思ったのか
　Aが焦ったように

　

　あかん

　

　と囁いた

　
　