桃色ストーリー 3 (ページ11)

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　笑いながらいつの間にか側に立ってたのは

　銀シャリの橋本兄さんやった

　『わー！もうー！びっっくりしたぁ…』

　橋「いやこの距離やったら気づくやろ」

　ちょっと酔ってはるみたいで
　暑いわーってネクタイ緩めながら隣に座って
　手でパタパタとあおいどる

　橋「Aおらんから皆心配しよったで
　写真撮りたいのにーって」

　『いやいや、主役やないんですから』

　ヘラヘラ笑っとると
　橋本兄さん遠くを見るような目をしとる

　橋「結婚かぁ〜……A考えとる？」

　『いやぁ………それが全然……
　橋本兄さんはモテますもんねぇ………』

　橋「いや俺の真似せんでええねん」

　『私この歳で恋愛したことないから…
　どうしたらええかも分かりませんもん〜』

　へへへ、と笑うと
　橋本兄さんが目をマジにして
　こっちに向き直った

　橋「なぁ、A」

　『どしたんですか？？』

　なんか…
　眼鏡の奥の目が怖いです、兄さん…

　橋「俺やったら、……あかんか？」

　『へ？？？』

　

　橋「俺と、結婚を前提に
　 ………付き合わんか？」

　

　『………………へ？
　いやいや、兄さん酔うてます？？』

　

　酔うてますよね？
　って橋本兄さんを見るけど
　その目はマジで、表情もかたいというか

　いつもの兄さんやない…

　『に、兄さん…？』

　橋「俺、今までもいろんな子と付き合ってきたけど
　やっぱりAのこと好きやねん

　 …考えといてくれん？？」

　時が止まったみたいに
　何も考えられへんくて
　私はそのまま固まってもた

　え？
　ど、どういうこと？？

　
　

　けっこん？？？ぜんていに

　どつきあい？？

　やなくて

　おつきあい？？

　

　えええ？？

　頭の中ぐるぐるしてなら
　特徴があって馴染みのある声に呼ばれた

　稲「あー！Aさん〜！」

　やっと見つけました〜
　って稲ちゃんが駆け寄ってくる

　稲「写真撮りましょ言うてるのに
　 Aさんおらへんから皆探してましたよ」

　『へ？ほんま！？ご、ごめん！！行く！
　に、兄さん、ほな、うちはこれで…』

　はよ行きましょ〜
　と先に行く稲ちゃんの後を追おうとしたら
　手首を橋本兄さんに掴まれた

　橋「返事は急がへんから」

　とだけ言うとパッと手首を離された

　気の利いた返事もできんまま
　靴ずれの痛みも忘れて
　橋本兄さんから逃げるように
　会場に戻った

　
　