Aぇ family (ページ27)

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冷や汗も止まらんし、手も震える。どないしよってほとんど真っ白になりかけた頭で朝のことを振り返る。敬太くんと話してたことが浮かんできた。そうや、誠也くんならまだ家におる。来てくれるはずや。震える手でスマホを持ってSiriに向かって話す。

良「誠也くんに電話かけて！」

すぐに呼び出し音が鳴って誠也くんの声がした。

誠「もしもし？良規、どないしたん？」

良「誠也くん、あんな、えっとあぁの……」

誠「良規、落ち着いて。大丈夫やから深呼吸してみ？何があったん？」

誠也くんの声でだんだん落ち着いてきた。

良「あんな、大学終わって最寄りまでは着いたんよ。今日敬太くん仕事やし、1人で帰ろう思ってたんやけど、電車が遅延しとるみたいで駅に人がいっぱいおって、アナウンス聞こえへんし、点字ブロックから逸れてもうて、自分がどこにおんのかわからんようになってしもた…ｸﾞｽﾝ」

誠也くんに説明し終わる頃には怖さと悔しさで涙が出てきた。やっぱり僕には無理やった。目が見えとったらこんなんさっさと家まで帰れるんやろうな…なんてすっかり落ち込んでしまった。

誠「怖かったな。ちゃんと俺に電話出来たやんか。すぐに行くからそこで待ってろよ！」