.... ページ5
カランコロン、とドアを開ける音
暗すぎず
明るすぎない
カウンターには
オールバックを後ろで束ねる、マスター
「おっ、久しぶりぃ！こっち座って」
『こんばんは、マスター』
なっちゃんがバイトしてたバー
＜ロンリーナイト＞
ここのマスターは気さくで
口が硬いので有名やし
私の事情も知ってる
それくらい信頼できるから
よく通うお店
普段の口調は
オカマみたいなときもあるけど
…時々
オトンみたいな事も言ってくる
「今日は夏とは一緒ちゃうの？」
『たまにはオカン抜きで飲みたいんですよ、私も』
ハハハ
と笑いながらマスターがカクテルを作ってくれる
いつものピーチリキュールの甘いお酒
小さな薔薇の形をした氷を入れてくれる
「夏は世話焼きやからなぁ」
『うち、子供みたいって
いつも言われるんやで、東京でも！』
「Aちゃんは
もうちょっとしっかりせなあかんよ」
『えー…うち結構頑張ってるのに』
「そっちやなくて」
はい、と出されるプレッツェル
ここのプレッツェル美味しいねん…
頬張ってると
それを見ながらマスターが聞いてきた
「恋とか、そろそろどうなん？
好きな人、つくったらええやんか」
ドキリ、とした
プレッツェルに伸ばした手も止まる
「お？その反応は……？
満更でもない感じやなぁ？」
『う…ちゃうちゃう！
そ、そんなやない……」
「いやいや！
そんな顔赤らめてぇ〜！」
めっちゃ可愛いやんか
って微笑みながら言う
でも、一瞬思い浮かんだのが
……なんで、賢ちゃん…なんやろ……
摘んだプレッツェルを見つめてると
でもな、Aちゃんって心配そうに
マスターが私を見てきた
「芸人でおるときと
ホンマのAちゃんでおるときと
はっきり、分けなあかんよ？」
拭いたグラスをそっと置きながら
真っ直ぐに私を見つめるマスター
「自分の心にまで
嘘ついたら、あかんよ」
『…分かった』
心妙な顔で言うもんやから
とりあえず頷いたけど
それでもマスターは
私を心配そうに見てた
私は……
嘘つき、なんやろか……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 134人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「お笑い芸人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
でぬでる(プロフ) - みっつさん» みっつ様、嬉しいコメントありがとうございますっ…！！そう言っていただけると励みになりますっ………！頑張りますので、最後までお付き合いよろしくお願いします！！ (2022年3月25日 21時) (
レス) id: 3561d7e8ea (このIDを非表示/違反報告)
みっつ(プロフ) - 楽しみすぎて毎日更新してないか見に来てます、、、！更新楽しみにしてます！！ (2022年3月25日 1時) (レス) @page28 id: 2b5b2f7fae (このIDを非表示/違反報告)
でぬでる(プロフ) - ひめうささん» ひめうさ様、わざわざありがとうございます！！そう言って頂けると本当に嬉しい限りです……！！一生懸命頑張りますので、何卒最後までお付き合いくださいませ…よろしくお願いします！ (2022年3月22日 12時) (レス) id: 3561d7e8ea (このIDを非表示/違反報告)
ひめうさ - 今日初めてこの小説を読ませて頂きましたが、本当に面白すぎて続きが楽しみです(*´∇｀*)更新頑張ってください！応援してます！ (2022年3月20日 9時) (レス) @page22 id: ab3fa2d7c1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：でぬでる | 作成日時：2022年3月5日 14時
