爆豪の頼み ページ1
授業終了の最後のチャイムが鳴り、Ａ組の生徒たちは疲労した体を椅子から起こしながら今日あった授業の内容や振り返り笑ったネタなどを話しながら寮へと向かっていた。
「なぁバクゴー！さっきの英語の最後の問題後で教えてくんね？」
切島が、よく頭のいい爆豪にわからない範囲を教えてもらっていて、今日も教えてもらおうと声をかけていた。
「って...あれバクゴーは？」
いつも切島は寮まで爆豪・上鳴・瀬呂の４人で向かっているので今日も一緒だと思っていたが、今日は珍しく爆豪が不在だった。
「トイレじゃね？さっきもぞもぞしてたし！」
上鳴がいつものように適当に返し
「いや、貧乏ゆすりだろ！」
瀬呂がツッコんだ。
「そうか、んじゃ後で聞くか!」
トイレではなかった爆豪が向かったのは、ホームルームを終え職員室に戻る途中の相澤消太の元だった。
「なんだ、帰宅時間まで時間がないぞ。」
爆豪が声をかける前に、相澤が振り返った。
「わぁってる。頼みがある。てめぇにそれを聞きに来ただけだ。」
プライドの高い爆豪から「頼み」という言葉を聞き、違和感を覚えた。
「頼み？」
片眉を上げながら相澤が問うと、少し爆豪は口ごもりながらも声を発した。
「寮に、よびてぇ奴がいる。一回だけでいい。士傑の奴だ。」
いつものハキハキというよりはバリバリした爆破ボイスとは打って変わって、静かに落ち着いたトーンで話す爆豪に相澤は何かを察した。
「あー...あれか。彼女か？」
直球な質問に一瞬動かした手をピタっと止めた爆豪だったが少し間が空いてからチッと舌打ちをしてから口を開いた。
「こっち(寮制)になってから会わせろって毎日うっせんだよ」
寮制になってからは、ヴィランから身を守る為家にも帰れていないので、勿論外部との接触も許されていない。特に爆豪は前回の件で中心人物でしかない上に名前も顔も個性もヴィラン連合に最も割れていて狙われている為、最も注意して扱わなければいけない。
そんな事は本人もわかっているだろうし、爆豪のプライドにとっては納得もできていないだろう。
そのうえ彼女もいるなんて、全く予想もしていなかった。こんな世界一自分中心の人間に連れ添おうとする度量のデカい彼女がいるとは思えないからだ。どんな人間だぜひとも拝みたいな。と思いつつも爆豪の言葉の裏には色々な思いがあるということも察したので、無下に却下することもできない。と相澤は判断し
「裏から入らせろ。騒ぎにならんようにな。」
承諾した。
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作者名：hanaka | 作成日時：2017年7月8日 15時
