乗り越しラブストーリー[赤] (ページ8)

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地元付近に帰ってくると変装を外して
2人で笑いあった

誕生日にAは俺に流行りの帽子をプレゼントしてくれた(実はサイズキツくて無理やり被ってた)

「これでさ！変装出来るやん？！」とか口実を付けてくるけど

重「ほんまは？」と俺が聞いたら

「私も一緒に使いたくて笑」えへへと笑いながら同じ帽子を俺に見せた

いつもAはニコニコしてた

だから気付かんかった

Aがいじめられてること

Aは俺にバレへんようにいつも笑ってた

気づいた頃にはもう遅くて
傷だらけで倒れてるAを泣きながら抱きしめた

それが高3の卒業間近

幼馴染みでもあり彼女でもあるAを
卒業間近になるまで気付かんとか彼氏失格や

と、俺の中でケジメを付けて

Aに「別れよう」と告げた

Aは泣き崩れた

「嫌や！」と泣くAに胸が痛んだ

俺かって大好きやけど守ってやれる自信が無い

それから俺らは学校で会っても話さへんし登下校も別々

卒業式の日もAに話しかけられへんくって
「東京に行くねん」とも言えないまま

俺は地元を離れた

それから8年間、Aを思い出すと胸が苦しくて
思い出の深い電車に乗るのを避けた

やけど、8年ぶりに電車に乗ったのは
Aに会いたかったから

Aにはたくさん謝らなあかん

あと、今でも好きやねんて伝えられたらなんて。