満月の夜に。 Daiki (ページ9)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:30,236 hit

9 ページ9

彼女の言う通り、本当に会えなかった。

それでも、俺は毎日、土手に向かった。

「今日もいない…」

今日もいない…今日もいない。

その繰り返し。

今頃、何してる？

頑張るって何を頑張るん？

疑問が俺の中でたくさん生まれた。

あ！淳太やったらAちゃんの事、なんか知ってるかな？

俺は淳太の元に向かった。

「淳太！淳太！」

淳「なんやねん！

あと、いつも言うけど先生を付けなさい！」

「そんなことより！聞きたいことあんねん！」

淳「聞きたいことって？」

「月村 Aのこと！」

俺がそう言うと、淳太は驚いた。

淳「月村の事、なんで知ってるん？」

「俺さ、近所の土手で毎日会っててん！」

淳「は？いつ？」

「え、夜やけど？」

そう言えば、淳太はハァとため息を吐いた後、
ヤレヤレと首を横に振りながら

" ほんま濵ちゃん何してんねん… "

と呟いた。

「え？」

淳「いや、月村言うてへんかった？

「抜け出して来た」とか。」

「言うてたけど…？」

え、淳太知ってんの？

淳「濵ちゃんにちゃんと言うとかなあかんなぁ。笑」

「え、濵ちゃんとなんの関係があんの？」

淳「ま、ええわ。

ほんで知りたいことって？」

「なんで学校に来ーへんのかなって。

本人に聞いたら、いつも悲しそうな表情するから、なかなか深くは聞かれへんくって。」

淳「まぁ、それは俺からは言われへんなぁ。

本人の口から聞くまで待っとき？」

「えぇ。」

淳「ってか、月村といつ出会ったん？」

「１ヶ月前の満月の夜。土手で出会ってん。」

淳「そっか。

じゃあ、重岡のおかげやったんかな。」

「え？何が？」

淳「最近な、月村、めっちゃ元気やってん。

なんでそんなに元気なんか聞いたら
『秘密です！』って言われてもーてさ笑

教えてくれへんかったから笑」

「そうなんっ？」

淳「おん。重岡に会うようになって元気になったんはええけど、抜け出すんは良くないな…」

「Aちゃんはどこにおるんっ？」

そう聞けば、
淳太は真剣な顔で俺を見た。

淳「それも本人の口から教えてもらいなさい。」