満月の夜に。 Daiki (ページ6)

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俺はまた夜に土手に向かった。

辺りを見渡して彼女を探す。

「おらんなぁ。」

俺は草むらに腰を下ろした。

その時、

『遅くなってごめんっ！ﾊｧﾊｧ』

走ってきたのか息を切らしていた。

『抜け出すのに今日は手こずってもうて笑』

「そっか笑」

抜け出すって気付かれへんもんなんかなぁ

「毎日、抜け出して大丈夫なん？」

そう聞けば、『うーん。』と考えて

『大丈夫やと思うっ！！笑』

と、また悪戯な笑顔を見せた。

『でもな…』

彼女がそう呟くと、また表情が曇った。

『いつでも会えるって言ったけど１ヶ月間だけやねん。』

「え、１ヶ月だけ…？」

『そう、でも、またその１ヶ月後には会える。

満月の夜に外に出れる。

でも、また１ヶ月後の満月の夜には外に出ることが許されなくなる。

それから、また１ヶ月後の満月の夜に外に出れる。

それの繰り返し。』

どういうこと…？

ありえへん話かもやけど…
かぐや姫みたいな…？月の精とか…？

『ふふふ笑

私が月の精に見えるならそれでええよ笑』

「え、」

心の声読まれた？

『ぜーんぶ声に出てる笑』

「えっ、あ、ごめん笑」

『ｱﾊﾊﾊﾊ笑

重岡くんってほんまに面白いなぁ笑』

「そんなことないで笑」

『そんなことあるよ！

少なくとも私は重岡くんのおかげで元気出てるし！』

ニコッと笑う彼女はとても生き生きとしていた。

「そっか笑」

『重岡くんに会うようになってから、私めっちゃ頑張れんねん！

重岡くんに会うために頑張ろうって毎日思ってる！

…ほんまに感謝しかないよﾆｺｯ』

嬉しそうに微笑んだ。

「Aちゃんは朝とかお昼は何してんの？」

『それは秘密かな。

でも、いつか話すから…。

そしたらきっと…重岡くんも離れて行っちゃうのかな…？ﾆｺｯ』

彼女の目には涙が溜まっていた。

月に照らされて涙が頬を伝ったのがよく分かった。

「俺は離れたりなんかせーへんよ？」

『それは嬉しいかな笑

重岡くんは優しいんやねﾆｺｯ』

彼女の秘密ってなんなん？

彼女はどんな闇を抱えてんの？

悲しい表情をするのはなんで？